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映画・演劇のレビュー

『イタリアは呼んでいる』

2015-05-23 23:19:54 | 映画

5泊6日の自由気ままなイタリア縦断の旅。極上のワインと料理。美しい風景。気の合う友。最高の休日を過ごすこと。なんだか夢のような映画なのだ。別に特別凄いことが描かれるわけではない。イギリスからイタリアにやってきたミニクーパーで走る。彼らのしていることはそれほど贅沢ではない。プチ贅沢。

しかも、これって、半分仕事だったりもするのだから、出費は必要経費として落とせるのではないか。なんかそれって羨ましい。こんなの好き勝手してるだけじゃないか。これで旅のエッセイをちょこっと書いたら原稿料まで出るのだ。なんか、かなりむかつく。まぁ映画の中のお話にムカついても仕方ないけど。

ということで、そんな細かいことは気にせず、中年男2人による旅に同行して一緒にそれを楽しめばいい。人生って、きっとこんなふうにケセラセラでいいはずなのだ。なんとでもなる。旅の途中、バカなものマネを連発して、楽しませてくれる。『ゴッドファーザー』のアル・パチーノがお気に入りのようで、けっこうしつこい。(マーロン・ブランドもする。)マイケル・マンの新作にオファーされて喜ぶ話も挿入される。

人生にはこういう休養が絶対に必要なのだ。実は、主人公たちはそれぞれ今は結構しんどい状態にもあるのだけれど、そんなこと、おくびにも出さずに、男2人でささやかだけど、確かな贅沢を楽しむ。

いつもシビアな現実と真摯に向き合う生真面目なマイケル・ウインターボトムがこんな映画を撮るからこそ、それは信じられるものとなるのだ。人生の休暇だと思えばいい。これは当然だが、驚くほど凄い映画ではない。でも、このユルさがなんとも心地よい。

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