たまたまである。この数日、こういうタイプの映画や小説ばかりを見ている。一昨日見た『おみおくりの作法』然り、その前日読んだ羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』も、また。そして、昨日今日はこの小説である。うちの母親の介護(のようなもの)をしているから、ついつい無意識に手に取るのかもしれないけど、なんだかなぁ、である。まぁ、これは中島京子の新作だから、まるで内容の確認をせずに読み始めた。
老人問題を扱う作品は確かに増えている。でも、わざわざ自分から率先して読みたいとは思わない。目の前の母のことで手一杯だからだ。
認知症を患う老人とその介護をする老いた妻。これはそんなふたりを見守る3人の娘たちと、その家族の物語。彼らの10年間を描く短編連作スタイルの長編小説である。生々しいけど、温かい。かなり進んだ認知症で、妻のことも覚えていない。もちろん、娘たちも、である。昔、中学校で校長をしていた。だからかもしれないけど、ボケてもなんだか、威厳がある。というか、偉そう。だからこそ、家族は困る。「自分」を忘れても、人は生きている。
ただのハートウォーミングではない。しっかり現実をみつめて上で、その先に何があるのかを、描こうとする。読みながら、どんどんページを繰るスピードが上がって来るのは、この先何があるのか、気になるからだ。うちの母はまだまだ大丈夫、(だと、思いたいけど、いつ何があるか、わからないという覚悟はある)だからこそ、この老人の毎日が気になって仕方ない。普段なら、仕事の行き帰りしか本は読まないのに、今回は夜のベッドの中でも手に取ってしまった。それくらいに気になる小説だったのだ。
ラストの展開に啞然とした。そうなることはわかっていたけど、でも、人はやはり死ぬ。そんな当たり前のことに、うろたえる。自分だって明日死ぬかも知れないのに、この主人公の死が、こんなにも、衝撃的だった。人生はいつか、終わる。その日まで、僕たちは全力で生きるしかない。『おみおくりの作法』といい、これといい、今なぜ、こんなにの凄い作品と出会うのだろうか。なんだかなぁ、と思う。もちろん、そこには深い意味はない。
老人問題を扱う作品は確かに増えている。でも、わざわざ自分から率先して読みたいとは思わない。目の前の母のことで手一杯だからだ。
認知症を患う老人とその介護をする老いた妻。これはそんなふたりを見守る3人の娘たちと、その家族の物語。彼らの10年間を描く短編連作スタイルの長編小説である。生々しいけど、温かい。かなり進んだ認知症で、妻のことも覚えていない。もちろん、娘たちも、である。昔、中学校で校長をしていた。だからかもしれないけど、ボケてもなんだか、威厳がある。というか、偉そう。だからこそ、家族は困る。「自分」を忘れても、人は生きている。
ただのハートウォーミングではない。しっかり現実をみつめて上で、その先に何があるのかを、描こうとする。読みながら、どんどんページを繰るスピードが上がって来るのは、この先何があるのか、気になるからだ。うちの母はまだまだ大丈夫、(だと、思いたいけど、いつ何があるか、わからないという覚悟はある)だからこそ、この老人の毎日が気になって仕方ない。普段なら、仕事の行き帰りしか本は読まないのに、今回は夜のベッドの中でも手に取ってしまった。それくらいに気になる小説だったのだ。
ラストの展開に啞然とした。そうなることはわかっていたけど、でも、人はやはり死ぬ。そんな当たり前のことに、うろたえる。自分だって明日死ぬかも知れないのに、この主人公の死が、こんなにも、衝撃的だった。人生はいつか、終わる。その日まで、僕たちは全力で生きるしかない。『おみおくりの作法』といい、これといい、今なぜ、こんなにの凄い作品と出会うのだろうか。なんだかなぁ、と思う。もちろん、そこには深い意味はない。