古くは傑作『交渉人』、最近では『ワイルドスピード アイスブレイク』を監督したF・ゲイリー・グレイの最新作はまるで『ルパン3世』のノリ。軽くて楽しい。美術品泥棒(一味)とインターポールの美人捜査官の対決を描く。しかもふたりは過去にお互いを知らなかった時、一度恋に落ちている。要するにルパンと銭形が恋仲というような設定。なかなかやばいです。
話は軽快でテンポよく進む。106分というコンパクトな上映時間の中に無理なく無駄なく、きちんと収まっている。笑いとハラハラドキドキのブレンドも的確。飛行機の中での戦い、まさかの着地点でのクライマックス。凄いことになる。
出し抜くことになる敵と、最初は仕方なくコンビを組むふたりの対比。ラストのどんでん返しも楽しい。映画はB級映画の気やすさで、大作並みの(充分大作だけど)ゴージャスさを兼ね備える。職人芸に徹した仕事ぶりは見事。適切に娯楽映画に必要な要素のすべてを備えたF・ゲイリー・グレイは上手い。