『エンゲキングXシバイズム』と題された企画の第2弾である。「造船所跡地の廃墟じみた室内劇場で、自己満足に徹した4つの短編を上演!」というキャッチコピーのもと上演された作品群はそれぞれ魅力的で、看板に偽りはない。組み合わせの問題で、3作品しか見れなかったが、いずれもよく考えられた短編で、刺激的だった。
ウラナチの『居留守図書館』はワンシチュエーションの不条理劇。台詞も動きもほとんどないまま見せていく。ただ何かを待ち続ける人たち。携帯をいじっている人や、新聞や本を読んでいる人もいる。手持ち無沙汰で佇む。彼らは役者ではなくオーディションで集められたエキストラだ。だから舞台に立って何もしない時間を上手く使えない。
いつの間にかここに集まり、ただ待つ。彼らはなんらかの目的のもとで集められてきたわけではないようだ。互いは見ず知らずで、お互いに関係を持つこともない。それぞれの目的(があれば、だが)のもと、ただ待つ。そこに小さな箱が運ばれてくる。この移動式の箱型の部屋がタイトルの居留守図書館なのだろう。これが現れた後、そこの居た人々は、ひとり、またひとりとその箱の中に入る。中には本棚があり、そこから自由に本を抜き出し立ち読みを始める。どんどん彼らはここに入っていく。ぎゅうぎゅう詰めになる。
箱が動くと今まで見えなかったサイドの壁面には赤い背景が見える。赤い背景のの前に彼らが押し込まれているのが見える。まるで狭く身動きもとれない空間に閉じこめられた地獄の亡者のようだ。説明はない。明確な意味もない。30分ほどのパフォーマンスはそのまま静かに終わっていく。彼らを閉じこめたまま舞台袖へと箱は消えていく。
プレイバック・シアター『インデックス』は銀幕遊学レプリカントの佐藤香聲さんによるパフォーマンス。いつものように刺激的な音響と照明を駆使して4人の演技者が繰り広げる万華鏡。
街に溢れているたくさんの言葉と音。それらは自分には必要のないものばかりだ。そんな雑音を聞きながら、耳にしながら僕らは喧噪の中を生きている。無意識の中で、それらを受け入れている一面もある。サングラス、時計、帽子という3つのアイテムを身につけて、彼らはこの空間を浮遊する。4人のパフォーマーはひとりひとりとして、それぞれ同じ事を繰り返しの中で表現する。彼ら別々の存在で、お互いには関わりを持つわけではない。だが、4人がこの舞台に立ち同じパフォーマンスを見せることで、この世界の中に生きるすべての人々を象徴する。
言葉にはもともとの意味は与えられていてもそこから何かを表現する意図はない。「あなたの自己紹介をしてください」という幾つもの同じ問いかけに対して4人が簡単な単語で答える冒頭から、身につけること、剥ぎ取ることを通して完結するラストまで、白と黒のコラージュで構成された無意識すれすれの行為を通して、彼らの個性は一切関係なくこの世界のイメージとして構成される。そして「あなたから名前をひくと何が残りますか」という問いかけで終わる。
空間悠々劇的『悪魔の大実演会』は4話からなるコント集。無意味と不条理すれすれのところに成立する世界がおもしろい。とても感覚的なものを、役者たちは体全体を使って見せる。1話目の『木下くんの恐い話』が一番面白い。木下くんの話す恐い話を聞いている2人のリアクションで笑わせる。以下3話とも同じパターンなのだが、オーバーアクトとそっけなさの対比がいい。
ウラナチの『居留守図書館』はワンシチュエーションの不条理劇。台詞も動きもほとんどないまま見せていく。ただ何かを待ち続ける人たち。携帯をいじっている人や、新聞や本を読んでいる人もいる。手持ち無沙汰で佇む。彼らは役者ではなくオーディションで集められたエキストラだ。だから舞台に立って何もしない時間を上手く使えない。
いつの間にかここに集まり、ただ待つ。彼らはなんらかの目的のもとで集められてきたわけではないようだ。互いは見ず知らずで、お互いに関係を持つこともない。それぞれの目的(があれば、だが)のもと、ただ待つ。そこに小さな箱が運ばれてくる。この移動式の箱型の部屋がタイトルの居留守図書館なのだろう。これが現れた後、そこの居た人々は、ひとり、またひとりとその箱の中に入る。中には本棚があり、そこから自由に本を抜き出し立ち読みを始める。どんどん彼らはここに入っていく。ぎゅうぎゅう詰めになる。
箱が動くと今まで見えなかったサイドの壁面には赤い背景が見える。赤い背景のの前に彼らが押し込まれているのが見える。まるで狭く身動きもとれない空間に閉じこめられた地獄の亡者のようだ。説明はない。明確な意味もない。30分ほどのパフォーマンスはそのまま静かに終わっていく。彼らを閉じこめたまま舞台袖へと箱は消えていく。
プレイバック・シアター『インデックス』は銀幕遊学レプリカントの佐藤香聲さんによるパフォーマンス。いつものように刺激的な音響と照明を駆使して4人の演技者が繰り広げる万華鏡。
街に溢れているたくさんの言葉と音。それらは自分には必要のないものばかりだ。そんな雑音を聞きながら、耳にしながら僕らは喧噪の中を生きている。無意識の中で、それらを受け入れている一面もある。サングラス、時計、帽子という3つのアイテムを身につけて、彼らはこの空間を浮遊する。4人のパフォーマーはひとりひとりとして、それぞれ同じ事を繰り返しの中で表現する。彼ら別々の存在で、お互いには関わりを持つわけではない。だが、4人がこの舞台に立ち同じパフォーマンスを見せることで、この世界の中に生きるすべての人々を象徴する。
言葉にはもともとの意味は与えられていてもそこから何かを表現する意図はない。「あなたの自己紹介をしてください」という幾つもの同じ問いかけに対して4人が簡単な単語で答える冒頭から、身につけること、剥ぎ取ることを通して完結するラストまで、白と黒のコラージュで構成された無意識すれすれの行為を通して、彼らの個性は一切関係なくこの世界のイメージとして構成される。そして「あなたから名前をひくと何が残りますか」という問いかけで終わる。
空間悠々劇的『悪魔の大実演会』は4話からなるコント集。無意味と不条理すれすれのところに成立する世界がおもしろい。とても感覚的なものを、役者たちは体全体を使って見せる。1話目の『木下くんの恐い話』が一番面白い。木下くんの話す恐い話を聞いている2人のリアクションで笑わせる。以下3話とも同じパターンなのだが、オーバーアクトとそっけなさの対比がいい。