今年超人予備校はなんと12年を迎える。そのイベントとしてHEPホールで、1夜限りの12周年記念公演が行われた。これは12年間の集大成である。ただのお祭り騒ぎのイベント企画ではない。
もちろん魔人ハンターミツルギさんは肩の力を入れまくることはない。いつものように穏やかで、照れたような笑顔を客席に向ける。変わらない。その変わらなさが素晴らしい。ベストか、ワーストか、というタイトルも彼らの気負いのなさを的確に指し示す。ベストもワーストも愛おしい。バカバカしいお話を全力で演じて、それが感動に至る。それこそが超人予備校の12年なのだ。愚直に自分たちが信じる笑いに邁進する。時にはそれは空回りもする。でも、構わない。失敗も成功も同じように愛しい。そんな姿勢が今回の作品にも貫かれている。
12年間からのセレクトされた10作品の演目は2時間のプログラムの中で、実に魅了的に構成されている。短編を並べただけではない。12年の軌跡をたどりながら、同時に1本のベスト盤として完成された。
軽いノリで、笑いながら、ほのぼのとした時間を過ごせれる。2時間があっという間だった。アンコールもちゃんと本編として組み込んでの2時間。手の届きにくいところまで、ちゃんと手の届く作品なのだ。
『鶴に恩返し』から始まり12年間で干支を一巡りする。(今年11月の12回公演『あしたは全力モンキー』で取り合えず完結!)ふつう、やりたくても出来ないことだ。こうして12年間続くのはミツルギさんの人徳のなせるわざ。あんなに下手だった役者たち(ごめんなさい。実に失礼!)がこんなにも成長したのも彼ゆえだろう。継続は力、なんてバカなことを思わず口にしてしまう。
今回のザ・ベストテンのパロディなんて、ふつうここまではやらない。でも、それをちゃんとやってしまうのが、ミツルギさんの凄さなのだ。今回めずらしく自分が前面に出た。それでも結局はみんなを輝かせてしまうのも、彼らしい。
これからも肩の力の抜けたことをやっていきます。