12歳の小学6年生の少年と70歳の靴職人の老人との友情を描いたこの小さな小説が、気付くと僕を夢中にさせている。母親を失くし、まだ幼い(6歳。小1だ。)弟と2人で暮らす彼は、自分の気持ちを抑えてひたすら耐えながら生きている。父親は消防士で、仕事が忙しく、家のことはみんなこの子に任せている。尊敬する父の期待に応えるために、この子は無理をしている。
こんな小さな子供が、こんなにもいい子でい続けることの痛みが、静かなタッチで描かれていく。彼は弟を絵画教室に送り迎えしているのだが、そこで出会った老人(彼は同じビルの中で、オーダーメイドの靴を作っている頑固で偏屈な男だ)と少しずつ心を通い合わせていくことになる。
大人しい孤独な少年と、頑な老人は、知らぬ間に強固な垣根を取り払い、いつの間にか、お互いの心の中に入り込んでいく。ストーリー自体は何でもないのに、少しずつ少しずつ効いて来る。よくあるハート・ウォーミングなのだが、語り口が甘くもなく、辛くもない、とても自然なタッチで、幾分マイルドなくらいなのが、とても心地よく、二人の気持ちが近付くのと同じように、僕もこの世界の住人になっている。
児童文学に入れてもいいくらいの平易さで、なのにとても懐が深い。心に染み入るような文体が気持ちよく、一瞬で読み終えてしまったのが勿体無かった。
こんな小さな子供が、こんなにもいい子でい続けることの痛みが、静かなタッチで描かれていく。彼は弟を絵画教室に送り迎えしているのだが、そこで出会った老人(彼は同じビルの中で、オーダーメイドの靴を作っている頑固で偏屈な男だ)と少しずつ心を通い合わせていくことになる。
大人しい孤独な少年と、頑な老人は、知らぬ間に強固な垣根を取り払い、いつの間にか、お互いの心の中に入り込んでいく。ストーリー自体は何でもないのに、少しずつ少しずつ効いて来る。よくあるハート・ウォーミングなのだが、語り口が甘くもなく、辛くもない、とても自然なタッチで、幾分マイルドなくらいなのが、とても心地よく、二人の気持ちが近付くのと同じように、僕もこの世界の住人になっている。
児童文学に入れてもいいくらいの平易さで、なのにとても懐が深い。心に染み入るような文体が気持ちよく、一瞬で読み終えてしまったのが勿体無かった。