とても単純な構造の芝居なのだが、よくできていて、単調な芝居で2時間以上の長尺なのに、なぜか全く飽きさせない。串団子方式の単調なストーリー展開(毎回長い完全暗転がある)なのだが、ショートストーリとしてそれぞれが独立した様相を呈しており、ゲストの役者の個性にも助けられて、次はどんな話がくるのか、とワクワクさせられる。いつものスクエアとはいささか趣を異にしているけど、それは近鉄アート館のオープニング企画という特別公演ゆえのことで、作る方も、しっかりそこを抑えたうえでの劇作りがなされている。
主人公の2人(新人女優と芝居の舞台監督)が、ダクトに捨てられた8個の球を求めて、劇場(近鉄アート館)を飛び出し、巨大商業施設(ハルカス)の中をさまよう、というストーリー。ストーリーはもっとあからさまにこの空間を模してもよかったのではないか。アベノ座とか、遠鉄カナタスとかいう仮名なんかいらない。というより、そういう遠回しな表現ではなく、実名を使うことでこの芝居の虚構性が、より強固なものになる気がする。
2人が 8個の球を求めていろんな場所で、さまざまな人たちと出会う。そして、主人公である少女が成長していくというドラマの骨格(童話によくあるパターンだ)は、甘いけど、台本、演出、役者が三位一体になって、作品世界を構築するので、安心して見ていられる。小劇場を題材にした内容は楽屋オチのネタみたいだが、マニア向けではなく、一般の観客をターゲットにしてあるから、見ていてわざとらしいものにはならない。小劇場のことをあまり知らない観客のほうが楽しめる。
ただ、もう少し、迷路のような巨大ショッピングモール、ハルカスを魅力的の描けたならよかった。更には、この商業施設のなかにある劇場にはなぜか奈落があり、そこにいる怪人とヒロインとが対決するというドラマの核心部分をもっとドラマチックに作れたならよかったのではないか。クライマックスなのに、あれでは少し軽すぎた。
オペラ座の怪人のストーリーをなぞったパロディにはしなかったのはよかった。ただ、観客はこの題材にそういう期待もしてきているはずなので、この裏切りをどう受け止めただろうか。はたして心地よく受け止めてくれただろうか、そこは気になる。
余談だが、今回オープンした新生近鉄アート館は、なんだか、細部まで旧アート館をそのままコピーしたような劇場で(なんと、トイレの位置まで同じだ!)このあからさまな復刻ぶりには驚いた。
主人公の2人(新人女優と芝居の舞台監督)が、ダクトに捨てられた8個の球を求めて、劇場(近鉄アート館)を飛び出し、巨大商業施設(ハルカス)の中をさまよう、というストーリー。ストーリーはもっとあからさまにこの空間を模してもよかったのではないか。アベノ座とか、遠鉄カナタスとかいう仮名なんかいらない。というより、そういう遠回しな表現ではなく、実名を使うことでこの芝居の虚構性が、より強固なものになる気がする。
2人が 8個の球を求めていろんな場所で、さまざまな人たちと出会う。そして、主人公である少女が成長していくというドラマの骨格(童話によくあるパターンだ)は、甘いけど、台本、演出、役者が三位一体になって、作品世界を構築するので、安心して見ていられる。小劇場を題材にした内容は楽屋オチのネタみたいだが、マニア向けではなく、一般の観客をターゲットにしてあるから、見ていてわざとらしいものにはならない。小劇場のことをあまり知らない観客のほうが楽しめる。
ただ、もう少し、迷路のような巨大ショッピングモール、ハルカスを魅力的の描けたならよかった。更には、この商業施設のなかにある劇場にはなぜか奈落があり、そこにいる怪人とヒロインとが対決するというドラマの核心部分をもっとドラマチックに作れたならよかったのではないか。クライマックスなのに、あれでは少し軽すぎた。
オペラ座の怪人のストーリーをなぞったパロディにはしなかったのはよかった。ただ、観客はこの題材にそういう期待もしてきているはずなので、この裏切りをどう受け止めただろうか。はたして心地よく受け止めてくれただろうか、そこは気になる。
余談だが、今回オープンした新生近鉄アート館は、なんだか、細部まで旧アート館をそのままコピーしたような劇場で(なんと、トイレの位置まで同じだ!)このあからさまな復刻ぶりには驚いた。