20歳なのに7歳の知能しか持たない発達障害の少女が主人公(『トンマッコルへようこそ』のカン・ヘジョン)だ。彼女を育てる母親との物語であり、同時に彼女がすてきな恋愛をするラブ・ストーリーでもある。これもまた、『アッコちゃん』や『ナミヤ雑貨』同様、なんとも危うい映画だ。傑作『恋する神父』のホ・インム監督の2007年作品。
こういうDVDを発見できた時は、なんだか嬉しい。普通なら公開時、あるいはDVD発売時にチェックしていて当然なのに、時としてノーチェックで埋もれるときがある。ちゃんと劇場公開されていないから仕方ないことだ。しかも、知らない間にどんどんリリースされ消えていく。
ちょっとコミカルで、バランスも悪いから、最初は大丈夫なのかと心配しながら見始めた。だが、だんだんこの危うい綱渡りが心地よくなる。やがて大丈夫だ、と知る。幾分オーバーアクトで、リアルじゃない展開もある。警察の描き方とか、ありえない。でも、あくまでもこれは主人公2人の想いに寄り添う映画だから、と思いながら見ているうちに気にならなくなる。神父が普通の女の子に恋をする話に続いて、今度は、警官が普通じゃない女の子に恋する。パステルカラーの淡い恋物語というパッケージングのもと、重くて困難な問題をはらみながら、映画は展開していく。
純粋な少女の心が、ひとりの男の子の常識を覆し、本当に大切なものを、教えてくれる。現実はこんなふうには行かないかもしれない。でも、彼女は全力で自分らしく生きる。そのことで自分の現実を変えていく。凄いことだ。でも、これは映画だから、とか、つまらない「いちゃもん」をつける人は、きっとどこにでもいるだろう。現実はそんな甘いものではないよ、とか言われるかもしれない。
でも、何もしないで最初からあきらめていては何もできない。彼女は自分の病気を恐れない。ただ理解できてないだけではないか、なんて思わない。困難なことや、失敗の数々を経て、でもいつも前を向いて生きる。たったひとりの肉親であり、彼女をずっと守ってきた母親の死さえ受け止めて、生きていくのだ。母親のためにハーブの畑を見せてあげようとして、でもかなわない。あのエピソードが胸に痛い。夜中に母親を連れて、闇の中、ハーブ園を目指す。でも力尽きる。無謀であることなんか、ものともしない。健常者でも不可能なことを、彼女はやり遂げる。怖いものなんかない。なんか凄くないか。僕たちはすぐに、なんでも無理と、諦めるのに、彼女は絶対に諦めないのだ。このいつも元気で明るい笑顔の少女にいろんなことを教えられる。
ホ・インム監督は、障害者が抱えるいろんなことをわかったうえで、こんなにもノーテンキに見える明るい映画を作ろうと思ったのだろう。僕は『恋する神父』のミュージカルシーンの感動が心の中に残っていたから、この監督の作るものなら絶対に大丈夫、と信じてレンタルしてきた。甘い映画だし、夢見るように生きることなんかでできるはずもないことなんか誰だってわかっているから、こんな映画だめじゃん、と言う人の言い分もわかる。それでも、僕はこれを見て、ほんとうによかったと思える。こんなにも幸せな気分にさせられたのだ。その事実だけで、充分意味がある。
こういうDVDを発見できた時は、なんだか嬉しい。普通なら公開時、あるいはDVD発売時にチェックしていて当然なのに、時としてノーチェックで埋もれるときがある。ちゃんと劇場公開されていないから仕方ないことだ。しかも、知らない間にどんどんリリースされ消えていく。
ちょっとコミカルで、バランスも悪いから、最初は大丈夫なのかと心配しながら見始めた。だが、だんだんこの危うい綱渡りが心地よくなる。やがて大丈夫だ、と知る。幾分オーバーアクトで、リアルじゃない展開もある。警察の描き方とか、ありえない。でも、あくまでもこれは主人公2人の想いに寄り添う映画だから、と思いながら見ているうちに気にならなくなる。神父が普通の女の子に恋をする話に続いて、今度は、警官が普通じゃない女の子に恋する。パステルカラーの淡い恋物語というパッケージングのもと、重くて困難な問題をはらみながら、映画は展開していく。
純粋な少女の心が、ひとりの男の子の常識を覆し、本当に大切なものを、教えてくれる。現実はこんなふうには行かないかもしれない。でも、彼女は全力で自分らしく生きる。そのことで自分の現実を変えていく。凄いことだ。でも、これは映画だから、とか、つまらない「いちゃもん」をつける人は、きっとどこにでもいるだろう。現実はそんな甘いものではないよ、とか言われるかもしれない。
でも、何もしないで最初からあきらめていては何もできない。彼女は自分の病気を恐れない。ただ理解できてないだけではないか、なんて思わない。困難なことや、失敗の数々を経て、でもいつも前を向いて生きる。たったひとりの肉親であり、彼女をずっと守ってきた母親の死さえ受け止めて、生きていくのだ。母親のためにハーブの畑を見せてあげようとして、でもかなわない。あのエピソードが胸に痛い。夜中に母親を連れて、闇の中、ハーブ園を目指す。でも力尽きる。無謀であることなんか、ものともしない。健常者でも不可能なことを、彼女はやり遂げる。怖いものなんかない。なんか凄くないか。僕たちはすぐに、なんでも無理と、諦めるのに、彼女は絶対に諦めないのだ。このいつも元気で明るい笑顔の少女にいろんなことを教えられる。
ホ・インム監督は、障害者が抱えるいろんなことをわかったうえで、こんなにもノーテンキに見える明るい映画を作ろうと思ったのだろう。僕は『恋する神父』のミュージカルシーンの感動が心の中に残っていたから、この監督の作るものなら絶対に大丈夫、と信じてレンタルしてきた。甘い映画だし、夢見るように生きることなんかでできるはずもないことなんか誰だってわかっているから、こんな映画だめじゃん、と言う人の言い分もわかる。それでも、僕はこれを見て、ほんとうによかったと思える。こんなにも幸せな気分にさせられたのだ。その事実だけで、充分意味がある。