今この企画を映画化するって、なんて大胆なことだろう。ターゲットにしたのは誰なのか。それすら、よくわからない。オリジナルのアニメ世代は懐かしいだろうが、彼らがこの実写映画化を見に行くとは思えない。ましてや、原作マンガが好きだから見に来た、なんて、そんな観客は劇場にいないだろう。
では、純粋にこのお話に惹かれて、子どもたちが見に行くか、と言われれば、そこもちょっと首を捻らざるを得ない。企画自身が斬新でおもしろく、子どもの気を引くかどうか、がポイントなら、これはかなりのリスクを伴う賭けになる。当然映画はヒットしない。でも、作品は子供たちの心を捉えた。いろいろ問題はあるけど、これは一応成功したのだ。なんとも凄いことだ。こんなアナクロ企画なのに。
オリジナルの漫画やアニメから離れて、これはまず、10歳の子どもが大人になる話として、理解しよう。それってトム・ハンクス主演の『ビック』の日本版ってことである。アッコちゃんは秘密のコンパクトの力で大人の女性になり、大人の世界を体験する。ひょんなことから化粧品会社で働くことになり、子ども目線から様々な問題を解決する。(ただしクライマックスの株主総会のシーンなんて子どもにはちょっとしんどいのではないか。)
『ビック』はおもちゃ会社だったから、自然に描けたが、これはちょっと難しい。でも、女の子が化粧することに憧れる想いは、大人になっても根底には同じものがあるはずなので、アッコちゃんの視線から問題を解決するのは、無理ではない。ストーリーのリアリティーについては、けっこう綱渡りで、ドキドキさせられる。もちろんリアルな話にはできるはずはない。そこはファンタジーとしてのリアルさのバランスの問題なのだ。
10歳の心を持つ22歳の女として綾瀬はるかは健闘している。彼女の自然な行為が映画を楽しいものにする。そこが嘘臭いものになると、この映画は成立さえしない。
実を言うと、かなりおもしろかったのだ。アッコちゃんという枠組みから離れて、10歳の少女が大人に憧れて、冬休みの間だけ限定で大人になる夢を見るという話で、しかも、大人と子どもの間を自由自在に行き来出来るというまさに夢にように都合のいい話。この軽さはすばらしい。会社のシーンもありえないことを連発するけど、ギリギリであほらしくならないところに収まっているのがいい。この危ういバランス感覚がこの映画の成功理由だ。しかも、あくまでも楽しさを追求していて、教訓的な話にはならないし。何度も書くが『ビック』にはなかったものがすべてここにはある。
12年後を描くラストシーンもすばらしい。あれは十分ありえる。もちろんメルヘンとスレスレのところに帰着する。あぶない、あぶない。切ない話には一切しない。これは冒険物語なのだ。ラブストーリーではない。アッコちゃんのファーストキスはあるけど、そんなのは、ただのご褒美である。でも、10歳の少女にとってはすごく刺激的なご褒美だろう。いろんな意味でこの映画のチャレンジは僕には刺激的だった。少しでもバランスを崩すと目も当てられない映画になる。だから、2時間ハラハラドキドキの連続だ。
では、純粋にこのお話に惹かれて、子どもたちが見に行くか、と言われれば、そこもちょっと首を捻らざるを得ない。企画自身が斬新でおもしろく、子どもの気を引くかどうか、がポイントなら、これはかなりのリスクを伴う賭けになる。当然映画はヒットしない。でも、作品は子供たちの心を捉えた。いろいろ問題はあるけど、これは一応成功したのだ。なんとも凄いことだ。こんなアナクロ企画なのに。
オリジナルの漫画やアニメから離れて、これはまず、10歳の子どもが大人になる話として、理解しよう。それってトム・ハンクス主演の『ビック』の日本版ってことである。アッコちゃんは秘密のコンパクトの力で大人の女性になり、大人の世界を体験する。ひょんなことから化粧品会社で働くことになり、子ども目線から様々な問題を解決する。(ただしクライマックスの株主総会のシーンなんて子どもにはちょっとしんどいのではないか。)
『ビック』はおもちゃ会社だったから、自然に描けたが、これはちょっと難しい。でも、女の子が化粧することに憧れる想いは、大人になっても根底には同じものがあるはずなので、アッコちゃんの視線から問題を解決するのは、無理ではない。ストーリーのリアリティーについては、けっこう綱渡りで、ドキドキさせられる。もちろんリアルな話にはできるはずはない。そこはファンタジーとしてのリアルさのバランスの問題なのだ。
10歳の心を持つ22歳の女として綾瀬はるかは健闘している。彼女の自然な行為が映画を楽しいものにする。そこが嘘臭いものになると、この映画は成立さえしない。
実を言うと、かなりおもしろかったのだ。アッコちゃんという枠組みから離れて、10歳の少女が大人に憧れて、冬休みの間だけ限定で大人になる夢を見るという話で、しかも、大人と子どもの間を自由自在に行き来出来るというまさに夢にように都合のいい話。この軽さはすばらしい。会社のシーンもありえないことを連発するけど、ギリギリであほらしくならないところに収まっているのがいい。この危ういバランス感覚がこの映画の成功理由だ。しかも、あくまでも楽しさを追求していて、教訓的な話にはならないし。何度も書くが『ビック』にはなかったものがすべてここにはある。
12年後を描くラストシーンもすばらしい。あれは十分ありえる。もちろんメルヘンとスレスレのところに帰着する。あぶない、あぶない。切ない話には一切しない。これは冒険物語なのだ。ラブストーリーではない。アッコちゃんのファーストキスはあるけど、そんなのは、ただのご褒美である。でも、10歳の少女にとってはすごく刺激的なご褒美だろう。いろんな意味でこの映画のチャレンジは僕には刺激的だった。少しでもバランスを崩すと目も当てられない映画になる。だから、2時間ハラハラドキドキの連続だ。