チャン・イーモウがコン・リーと久々にコンビを組んだ新作だ。だが、作品自体はメロドラマの域を出ない。文革を取り上げる映画は最近ではめずらしい。それだけに期待したのだが、残念だ。今の中国映画はこういう暗い作品は好まれない。だからこそ敢えて今の時代にこういう作品を取り上げる勇気は買う。でも、どうして、こんな甘いだけの作品にしたのか。妥協の産物なら、その妥協の原因はどこにあるのか。監督はそれ相当の覚悟を持って挑んだはずなのに、どうしてこうなったのか。
これは巨匠となった彼だからこそ可能になった企画ではないか。それでもこういう形でしか表現できなかったのか。体制批判が目的ではない。文革をどう捉えるかでもない。悲惨な時代へのノスタルジアでもない。(だいたい、そんなノスタルジアなんかない)
では、何なのか。この映画からはそれが見えてこないのだ。なぜ、この映画を撮りたかったのか。高度成長を遂げる中国が忘れ去りたい記憶から目を背けないためか。でも、そんな単純なお話ではない気がする。本当はもっと違う形で、ここに描きたかったことがあるはずだ。それが見えてこない。もどかしい。ただ、この映画は中国国内では大ヒットしたようだ。それもまた、わかる気がする。
話自体は、決して甘いだけの映画ではないのだが、でも、作りが甘い、としか、言いようがない。妻を見守る夫という図式から先には行かない。これではあまりに表層的すぎて、彼らが抱える痛みの深さが描ききれない。
これは巨匠となった彼だからこそ可能になった企画ではないか。それでもこういう形でしか表現できなかったのか。体制批判が目的ではない。文革をどう捉えるかでもない。悲惨な時代へのノスタルジアでもない。(だいたい、そんなノスタルジアなんかない)
では、何なのか。この映画からはそれが見えてこないのだ。なぜ、この映画を撮りたかったのか。高度成長を遂げる中国が忘れ去りたい記憶から目を背けないためか。でも、そんな単純なお話ではない気がする。本当はもっと違う形で、ここに描きたかったことがあるはずだ。それが見えてこない。もどかしい。ただ、この映画は中国国内では大ヒットしたようだ。それもまた、わかる気がする。
話自体は、決して甘いだけの映画ではないのだが、でも、作りが甘い、としか、言いようがない。妻を見守る夫という図式から先には行かない。これではあまりに表層的すぎて、彼らが抱える痛みの深さが描ききれない。