今年も水盤舞台が上演された。
今回のメインは江戸川乱歩の『人間椅子』。これを演出構成は佐藤香聲(銀幕遊学◎レプリカント)、 出演は青山郁彦、久保田寛子(IQ5000)で見せる。20分ほどの作品なのだが、おもしろい。一応はテキストを使い、ちゃんとした芝居仕立てになっているが、ストーリーで見せるのではなく、この特異な話の骨格だけからイメージで膨らませる。大体この話を水盤舞台で見せる必然性なんかない。だが、佐藤さんは水盤舞台という装置から発想したとき、そこにこのお話をリンクさせることで、見えてくる意外性を大切にした。白と黒の交錯によって、原作をなぞるのではなく、ある種のダンスパフォーマンス作品として象徴的にこの作品世界を提示する。
今回僕が見たのは、土曜日のプログラム。先にも書いた青山郁彦+久保田寛子 の後、 市川まや+吉見英里 、河邉こずえ、 橋本源氏 の3作品を見た。昨年のような派手さはないけど、それぞれ真面目にこの水盤舞台に取り組んでいるのがよかった。昨年は、ここで派手に遊ぶことを第一に考えるような作品が多かったが、今年はおとなしい。どちらもアプローチとしては悪くないだろう。
3つのダンス作品は、それぞれが同じ空間を使っているのに、まるで別方向を向いているのが、おもしろい。市川、吉見コンビは、最終的には水遊びとなる。遊戯だ。水と戯れる。河邉こずえは水を通して、とても美しい空間を作り上げる。水と共に戯れるが、そこに自分を表現しようとする。橋本源氏は、水と向き合う。ここにいる自分という存在と水という空間が対峙する。水自体はあくまでも道具に過ぎない。ポーカーフェイスで自らのパフォーマンスを淡々とこなしていく彼女のダンスは凛として美しい。水をことさら強調せず、自然に共生してひとつのダンス作品を作り上げていく。
とても楽しい時間だった。
今回のメインは江戸川乱歩の『人間椅子』。これを演出構成は佐藤香聲(銀幕遊学◎レプリカント)、 出演は青山郁彦、久保田寛子(IQ5000)で見せる。20分ほどの作品なのだが、おもしろい。一応はテキストを使い、ちゃんとした芝居仕立てになっているが、ストーリーで見せるのではなく、この特異な話の骨格だけからイメージで膨らませる。大体この話を水盤舞台で見せる必然性なんかない。だが、佐藤さんは水盤舞台という装置から発想したとき、そこにこのお話をリンクさせることで、見えてくる意外性を大切にした。白と黒の交錯によって、原作をなぞるのではなく、ある種のダンスパフォーマンス作品として象徴的にこの作品世界を提示する。
今回僕が見たのは、土曜日のプログラム。先にも書いた青山郁彦+久保田寛子 の後、 市川まや+吉見英里 、河邉こずえ、 橋本源氏 の3作品を見た。昨年のような派手さはないけど、それぞれ真面目にこの水盤舞台に取り組んでいるのがよかった。昨年は、ここで派手に遊ぶことを第一に考えるような作品が多かったが、今年はおとなしい。どちらもアプローチとしては悪くないだろう。
3つのダンス作品は、それぞれが同じ空間を使っているのに、まるで別方向を向いているのが、おもしろい。市川、吉見コンビは、最終的には水遊びとなる。遊戯だ。水と戯れる。河邉こずえは水を通して、とても美しい空間を作り上げる。水と共に戯れるが、そこに自分を表現しようとする。橋本源氏は、水と向き合う。ここにいる自分という存在と水という空間が対峙する。水自体はあくまでも道具に過ぎない。ポーカーフェイスで自らのパフォーマンスを淡々とこなしていく彼女のダンスは凛として美しい。水をことさら強調せず、自然に共生してひとつのダンス作品を作り上げていく。
とても楽しい時間だった。