なんとも刺激的なタイトルではないか。しかも監督はSABU。さらには彼にとって初めての高校生の青春映画。どんな作品になっているのか、とても楽しみだった。虐めを扱う。みんなから手ひどいいじめにあっている少女(石井杏奈)を助ける男の子(中川大志)のお話というある種の定番のラブストーリーなのだけど、SABU監督は甘い映画にはしない。
ストレートで激しい。悪気のない、でもとんでもないいじめに対して彼女はただただそれを受け入れるだけ。だからクラスメートもエスカレートする。先輩である男子が彼女を全力で守ろうとする。でも、彼女は彼に心を開かない。もどかしい。彼女が抱える問題は学校でのいじめだけではない。父親(堤真一! 不気味だし怖すぎ)による家庭内暴力が根底にある。あのわけのわからない父親は何なのか。
そこから終盤とんでもない展開になる。冒頭のシーンとつながり、これはある種のヒーローものだったのか、と納得するけど、それにしてもとんでもない展開で唖然とする。確かにこのタイトルにふさわしい映画だし、SABU監督らしい勢いにある映画だ。しかも、この内容で2時間越えという長尺。堂々たるタッチでこの想像を絶する地平へと誘われる。
ただ、これではなんのことやらわからない、という感想も出てくるのではないか。説明過多は見苦しいけど、これはあまりにぶっ飛びすぎだ。映画自体が砕け散ってしまっている。まぁ、タイトルがこれなのだから、それでいいのだろうけど。