東京の下町にある昔ながらの古本屋、東京バンドワゴン。「築70年にもなる今にも崩れ落ちそうな日本家屋」のその店を舞台にして、3世代が同居する大家族堀田家と、その周辺の人たちが繰り広げる1年間の大騒動を4つのエピソードとして綴っていくホームドラマ。
76歳で死んでしまった一家を陰で支えた中心的人物サチおばあさんの語りによって、彼女の夫で3代目店主、勘一以下総勢9名に及ぶ家族と、ここに出入りする人たちの心暖まる物語が綴られていく。
読みながら、家族ってきっとこんな風だったんだろうなぁ、なんて思わされた。一つの家に3世代、実際には三家族以上が住み、いろんな人たちがいて、お互い助け合ったり、喧嘩したりして、ワイワイ言いながら日々を過ごしていた古き良き時代の《家》というものの姿がここにはある。
よく出来たお話で、幾分ノーテンキなストーリーの流れの中で、心地よい時間を体験できる。
何かあったら卓袱台をひっくり返していた向田邦子の『寺内貫太郎一家』や、木下恵介アワーの頑固一徹なカミナリ親父による『おやじ太鼓』(だっけ)なんかを思い出す。「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ」というラストの献辞はこういうドラマを指しているのだろう。
家父長がいて、彼を中心に家が回っている。そんな時代の名残りをとどめて、少しマイルドな口当たりの懐かしいドラマがこの小説には描かれている。
いつも「LOVEだねぇ」を口癖にしている60歳の金髪ロッカー我南人は内田裕也を思わせる。映画化されるなら、この役は彼しかない。
76歳で死んでしまった一家を陰で支えた中心的人物サチおばあさんの語りによって、彼女の夫で3代目店主、勘一以下総勢9名に及ぶ家族と、ここに出入りする人たちの心暖まる物語が綴られていく。
読みながら、家族ってきっとこんな風だったんだろうなぁ、なんて思わされた。一つの家に3世代、実際には三家族以上が住み、いろんな人たちがいて、お互い助け合ったり、喧嘩したりして、ワイワイ言いながら日々を過ごしていた古き良き時代の《家》というものの姿がここにはある。
よく出来たお話で、幾分ノーテンキなストーリーの流れの中で、心地よい時間を体験できる。
何かあったら卓袱台をひっくり返していた向田邦子の『寺内貫太郎一家』や、木下恵介アワーの頑固一徹なカミナリ親父による『おやじ太鼓』(だっけ)なんかを思い出す。「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ」というラストの献辞はこういうドラマを指しているのだろう。
家父長がいて、彼を中心に家が回っている。そんな時代の名残りをとどめて、少しマイルドな口当たりの懐かしいドラマがこの小説には描かれている。
いつも「LOVEだねぇ」を口癖にしている60歳の金髪ロッカー我南人は内田裕也を思わせる。映画化されるなら、この役は彼しかない。