昨年復活した金蘭座の第2作は山本篤先生によるオリジナル新作。金蘭会高校演劇部のOGによる劇団という括りはいらない、とは言えないところがこの集団の面白いところだ。他の小劇場劇団とは一線を画する。純粋に金蘭エンゲキを継承するという事実が何よりも大事なのだ。でも、それはただのOG会ではない。みんなで「今でも懐かしい高校時代を回顧しよう」なんていうのではない。自分たちの表現を極めるというのでもない。山本先生の世界に共鳴して、というのは正しい。でも、彼女たちはただの信者ではない。
どちらかというと、山本先生が彼女たちに動かされている。彼女たちと山本先生は一心同体なのだ。演劇という手段によってつながり、ともに表現していく。自分たちの中にある「何か」を。
今回のお話は、簡単に言えば、自分に自信を無くした教師と卒業生がともに芝居を作ることで、再起を図る。それだけのお話なのだ。2部構成、2時間半の大作として作られた。そこにさまざまな問題を織り込みながら、誰もが抱える痛みを綴った。初心に戻って、身近なところから、壮大なものへと広がっていく、これはそんな作品だ。重い作品だけど、その重さをしっかりと受け止めたい。大切なものがそこには確かにある。