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映画・演劇のレビュー

浮狼舎『楽助はぐれ旅』

2022-09-24 10:04:42 | 演劇

なんと今回の新作は岩井宏行が主演で、タイトルロールの楽助を演じる。彼を色物としてではなく、二枚目にして堂々主役を張らせるのだ。これは凄い。体の大きい(太っている、ということだけど)彼はコメディリリーフとしては貴重な存在だが、彼をセンターにして芝居を作ることは今までなかった。神原組でもすかんぽ長屋でも主役はいつも島上さんだ。そんなのはお約束になっている。でもそのお約束を今回は外した。しかも庄司勝でもなく岩井宏行である。だからといって彼の巨体を生かした『美女と野獣』のような芝居をするわけではない。堂々たる時代劇で、大衆演劇を小劇場で展開する神原さんの得意技。

お話は定番。なんのひねりもない。この手のお話の王道。そんな直球勝負に岩井を起用したのだ。捨て子だったが旗本の夫婦に育てられ何不自由なく暮らしていたが自分の出生の秘密を知り出奔。今ではヤクザになっているが、そこに彼を探して母と妹がやってくる。父親が闇討ちに合い、母と妹が仇討のために旅に出ていたということを知り、彼が父の敵を討つ、とかいうようなお話。

1時間ほどの芝居は、いつものレギュラーキャストの共演で滞りなく進行していく。ラストもお約束通りの立ち回りで、めでたしめでたし。ワンポイントリリーフでちゃんと神原さんも登場する。前作(といっても、浮狼舎ではなくすかんぽ長屋名義だが)ではゲストに関秀人や塚本修という豪華キャストを呼んできたが、今回はあえて小さくまとめた。前作からなんと2カ月のインターバル(というより、もう連投!)での公演である。1年中芝居三昧。ということで神原ワールドは今回も全開だ。


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