中村義洋監督が『映画 怪物くん』に続いて大野智とタッグを組む、というところはスルーして、『殿、利息でござる』に続いて挑む時代劇、という部分だけで、期待した自分がバカだった、と、反省するしかないような惨い映画だった。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。（そうなのだ！ あの『怪物くん』も彼の映画とは思えないくらいに酷かった）
中村監督のライト感覚が悪い方に影響して、目も当てられない作品になってしまったのか。大野智も全く精彩を欠く。スーパー忍者なのに、奥さんにだけは弱い、というヒーロー物によくあるパターンなのだが、まるで笑えない。ユーモアがはじけないのだ。しかも、かなり頑張ったアクションやセットがなぜか、嘘くさい。チープにしか見えないのだ。これはどういうことか。そいういのがライト感覚でいい、と思えなくては成り立たない映画のはずだった。思惑通りには、まるでいってない。石原さとみなんて、なんのために呼ばれたのか、と思うほどやりがいのない役。
お話もつまらない。伊賀の忍者ＶＳ史上最強の織田軍、という戦いがスペクタクルではなく、おままごとに見えてくるしょぼさ。忍びの術があまりにアホくさくて、それはないわぁ、と思う。パターンを踏襲して観客を乗せるつもりが、まるで上手くいかないままスベリまくる。
原作、脚本の和田竜は『のぼうの城』も『村上海賊の娘』もストーリーのおもしろさと、アクションの融合が見事で、とても映画向けの作家なのに（もともとシナリオライター志望だった）今回のお話のつまらなさは、どういうことなのか。忍者による騙し合いが、リアルじゃないので、バカバカしさばかりが全面に出て、空中分解した。マンガのようなアクションもつまらない。昨年の『殿、利息でござる』があんなに面白かったのに、アクション映画になると、まるで冴えないことが露呈した。
