今回はラブロマンスではない。政治的なドラマだ。以前作った『わたしはライト』の姉妹編。そこはこのタイトルを見たなら明らかだ。すぐわかる。そのわかりやすさがいい。
ラブロマンスではないけど、カチカチの政治劇ではない。軽いタッチで、よど号ハイジャックからサリン事件までを描く。これは作、演出の武田一度さんが言いたいことをストレートに吐露した作品だ。だが、それは痛烈なメッセージではなく、とても優しい。いつものラブロマンスと同じようなタッチで描かれる。市井の人々の喜び、悲しみを芝居として提示していく。だから、政治犯を描いても、事件を追う敏腕記者を描いても、まず、優しいのだ。
今回は、犯友には珍しく、風太郎や秋月雁という外部からの血を導入しての芝居だ。そこも新鮮だった。だが、芝居自身は武田さんのいつものスタイルを頑なに守る。時代の変遷のなかで人々がどう生きたのか。それが武田さんのテーマだ。そこに政治が介入しても、同じ。ある時代の中で、懸命に生きる人たちの群像劇。そんな一貫したスタイルが心地よい。右翼であろうと左翼であろうとそんなもの、関係ない。