何も考えなくていい、映画が見たかった。単純に娯楽映画の王道を行くようなスペクタクル大作。アナログなお話でいい。「このベタさ、は凄いぜ」と予告編を見たときに感心した。今どきはやらない3D映画(今の時代だから当然2D上映だったけど)というのもいい。今どき『ジョーズ』の亜流映画なんてのがこれほどの大予算で作られるバカバカしさ。チャイナマネーが入っているから、金に糸目は付けない。やりたいようにやればいい。しかも、主役はジェイソン・ステイサムだ。もうそれだけで映画はB級アクションになる。
だが、見始めて少しこれはまずいぞ、と思い始める。嫌な予感がする。なんだか、中途半端に真面目なのだ。もっとハチャメチャしてくれ、と祈るような気分になる。だが、祈りは届かない。抑えたタッチがつまらない。ジェイソンなのに、バカは余りしない。巨大鮫とのタイマンバトルがない。アクション映画じゃないのだ。ムキムキジェイソンが、素手でサメを倒す映画を期待したのだが。先日公開されていた怪獣映画『ランペイジ』は素手でドウェイン・ジョンソンが怪獣と戦う映画だったのだろうか。あれも、死ぬほどバカバカしそうだったから、時間があれば見ようと思っていたが、見逃した。仕方ないからこの映画のリベンジであれをTSUTAYAで借りてこようか。まぁ、もうこの映画を見たからそんなバカは辞めよう。時間の無駄だろうから。
単純でいいけど、それが快感にならなくては意味がない。この映画のような中途半端な真面目さは無意味だ。無謀をどんどん推し進めて無茶苦茶するべきだ。それでなくてはB級スピリットは満たされない。終盤になってようやく『ジョーズ』のようにたくさんのおバカな海水浴客であふれるリゾート地の海岸を襲うシーンが描かれるけど、遅いよ。しかも、短いし。もっと過剰にやって欲しい。せっかく時間を作ったのに、なんだか消化不良を起こしてストレス発散にはならなかった。