渋谷ニコルソンズの木下半太が大阪で芝居を作った作品。オーディションで選んだメンバーと劇団員のコラボで送るお得意のシチュエーションコメディ。お話はとてもよく出来ている。この秀逸なアイデアのもと、役者たちを自在に動かして、ラストまで一気に見せてくれる。渋谷ニコルソンズの3人を中心にて総勢20人以上の大人数のキャストが(一部ダブルキャスト)右往左往する芝居なのだが、お話はワンシチュエーションで、とてもシンプル。わかりやすくて、楽しい。
運命の恋愛を商品として提示して、成就させるために画策する会社(要するに結婚詐欺会社なんだけど)を舞台にして、そこの課長が良心に目覚め辞表を提出するのだが、周囲の社員がなんとかしてそれを食い止めようとする、というお話。お客とのトラブルも交えながら、いろいろ嘘をつくうちに、本当のロマンスが生まれてくる。なんだか、とてもノーテンキで、でも、ハッピーなラブストーリーだったりする。もっとスマートに作ったらおしゃれな芝居になるのだけど、わざとそうはしない。だいたい主人公が汗臭いハゲのおっさん(すみません!)なのである。しかも、彼がなんだか正義感に駆られて辞表を出すのだが、実はみんなに構ってもらいたいだけ、だったりして、結構めんどくさい奴なのだ。そんな、こんなの小細工したお話の仕掛けの数々が面白い。役者たちの持ち味を生かしたラフな芝居なのもいい。1時間50分という上演時間も適切。