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映画・演劇のレビュー

『鍵泥棒のメソッド』

2012-09-16 20:28:36 | 映画
 内田けんじ監督最新作。彼が映画を撮る。ただそれだけで心ときめく。今度はどんな仕掛けで楽しませてくれるのか。ワクワクドキドキさせられる。ストーリーの奇抜さ。展開の妙。一瞬も気が抜けない。映画の楽しさが満ち溢れる。まさに内田ワールドとしかいいようのない世界がそこにはある。

 今回も驚きの仕掛けがオンパレード。どちらかというと、おとなし目の話なのだが、ずっとクスクス笑えるし、先の読めない展開にドキドキする。単なるコメディーではないことは、今までの作品を見ている観客はよく知っていることだろう。極端な人間が、なぜかリアルで、あり得ない話が、とても説得力がある。

 主役の3人を追いかけるだけなのだが、一瞬も気が抜けない。鍵泥棒が発端になり、入れ替わったふたりの男(殺し屋の香川照之と、売れない役者の堺正人)のてんやわんやの騒動になぜか、婚活中の雑誌編集者、広末涼子がからむ。彼女のやることなすことがすべて笑える。堅物で仕事は出来るけど、不器用な女を広末が低いテンションで見せる。そこがすごい。

 お話をここで説明するような野暮なことはしない。大体説明されても意味はない。ただ騙されたと思って、見ればいい。誰が見ても、面白くないはずはないのだ。ジェットコースターにでも乗ったと思っていただけが理解できるはずだ。そんなふうに言うと、「2時間8分ものジェットコースターって、さぞや疲れるだろう、」と嫌みなことを言う人もいるかもしれないが、大丈夫。あっという間だから。一瞬の128分って、どんな感じ? と思った人はまず劇場まで。

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