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映画・演劇のレビュー

HPF2012 信愛高『GAP 2012』 吹田高『それぞれ夢』

2012-07-22 20:53:31 | 演劇
 今年もHPFが始まった。今回は8本見る予定で準備している。いつものことだが、なかなかスケジュールの調整が難しいけど、できるだけたくさん見たいと思う。それと、出来るだけ初めて見る学校の作品にチャレンジしたい。どうしても、これだけは外せないと考えるうちに、定番高校ばかりになるというのがパターンだ。そこで、今回は日時指定だが、かなりお任せにも、した。

 僕の1本目は信愛の『GAP』だ。信愛らしい作品である。暗くて重い。でも、とても真摯に自分たちの見つめる現実と向き合う作品だ。だが、ちょっと古い。先輩たちが書いた台本から作品を選ぶ、という方法は悪いことではないが、それをどこまで今の感覚にリライトできるか、が大問題なのだろう。

 演出を担当した高道さんは、確かに健闘している。大人数のキャストを上手く動かし、ひとりの女の子の中にある暗い想いを、1時間の長さにちゃんと封じ込めた。死への誘惑と向き合い、どう戦うのかが描かれる。決して単純にはならない。何が正しくて何が間違いなのかも、よくわからないまま、死んでしまった2人の子どもたちに導かれて、彼らのもとへと引き込まれていく。抗うのではなく、彼女の弱さ、優しさを、ちゃんと認めたうえで、ではどうすればいいのかを、提示する。だが、それは見せ方も含めていささか観念的になり過ぎた。閉じられた世界の話になってしまったのが惜しい。高校時代と、大人になった今とをつないで、変わらないもの、変わったものを、対比させながら、彼女の今をもっと力強く見せてもらいたかった。

 2本目は吹田高『それぞれ夢』。テンポ悪すぎ。この内容で1時間20分はない。1時間でも長いくらいだ。どうしてこんなことになったのかは明白だ。バカ丁寧に描き過ぎたからだ。はしょるところはちゃんと、はしょってテンポよく見せなくては退屈する。作り手の真面目さ、誠実さがちゃんと伝わるから微笑ましいのだが、それでもこれを認めるわけにはいかない。

 話自体は単純だ。それはいい。高校3年生になった2人の女の子が偶然同じクラスになり、仲良くなる。そんな2人が所属する同じように部員が少なくて廃部の危機にある演劇部と合唱部が合同でミュージカル公演をする。そんな話。それをちょっとしたミュージカル・スタイルで見せる。派手なミュージカルではなく、歌謡ショーみたいな感じ。一応歌ったり踊ったりするけど。そのしょぼさは悪くはない。ラストでちゃんと劇中劇のワンシーンも見せてくれるのもいい。だから、あと30分短くして欲しかった。

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