アメリカ映画には、野球映画に優れた作品が多い。しかも、途切れることなく作られる。今回もまた傑作の予感がしたのだ。監督はあの『カポーティー』を作ったベネット・ミラーだ。ブラット・ピット主演というのも、なんだかいい作品の予感。いい監督とその時代のトップスターがタッグを組んで野球映画に挑む。昔、ロバート・レッドフォードがバリー・レビンソンと組んで『ミラクル』を作ったときの感動を思い出す。あの映画は野球映画史上最高の1作だ。あれと並んでもう一本、凄い映画がある。もちろんケビン・コスナー主演『フィールド・オブ・ドリームス』だ。この2本を超える野球映画は(というか、この2本は映画史に残る作品だ!)今後一切生まれない。不可能である。あの2本がこのジャンルの頂点を極めてしまったからだ。だから、今回のこの映画も確かに傑作なのだが、あの2本とは到底並べれない。レベルが違いすぎる。
それはさておき、この映画は野球映画なのに、ほとんど野球のシーンがない。というか、白熱した試合のシーンがないのだ。クライマックスである20連勝を賭けた試合のシーンですら、そこにポイントは置かれない。大事なのはそこではないからだ。
これは主人公が野球をする映画なのではない。彼は弱小球団のGMである。有力選手が大手球団からの引き抜きにあう。いくらいい選手を育ててもお金でその選手は大手に引っ張られていく。もちろん莫大な移籍金は入るからそれでまた、いい選手を買えばいい。だが、なんだかそれって釈然としない。でも、これがスポーツの世界の常だ。そんな彼が(彼の片腕となる若者と)埋もれた選手や、戦力外通告を受けた選手の中から、数字で、確実に結果を出せる選手を見つけてきて、かき集めて来る。果たしてそんなメンバーで結果が出せるのか。こんなふうに書くと、これは寄せ集めチームが勝利を目指すという簡単な感動ストーリーに見える。でもまるでそんなことはない。では、何なのか。
何に拘るか。そこが大事なことだ。何が正しくて、何が間違いなのか、なんてやってみなければわからない。人生はひとつだから、やり直しなんかできない。わかっている。だからこそ、自分が信じた方法を貫く。この映画が描くのはそこだ。40代半ばを迎えたブラピが、この地味な役を演じた意味は大きい。20代のなんの実績もない青年とともに、人生の再チャレンジに挑む、というのもいい。(その青年が小太りのオタクであるのもいい) 彼の才能を信じ2人3脚で球界を向こうに廻して(というか、自分の球団の監督やスカウトからも反発を受けながら)戦う。GMという縁の下の力持ちの仕事。報われない。でも、やりがいはある。だから、やる。
それはさておき、この映画は野球映画なのに、ほとんど野球のシーンがない。というか、白熱した試合のシーンがないのだ。クライマックスである20連勝を賭けた試合のシーンですら、そこにポイントは置かれない。大事なのはそこではないからだ。
これは主人公が野球をする映画なのではない。彼は弱小球団のGMである。有力選手が大手球団からの引き抜きにあう。いくらいい選手を育ててもお金でその選手は大手に引っ張られていく。もちろん莫大な移籍金は入るからそれでまた、いい選手を買えばいい。だが、なんだかそれって釈然としない。でも、これがスポーツの世界の常だ。そんな彼が(彼の片腕となる若者と)埋もれた選手や、戦力外通告を受けた選手の中から、数字で、確実に結果を出せる選手を見つけてきて、かき集めて来る。果たしてそんなメンバーで結果が出せるのか。こんなふうに書くと、これは寄せ集めチームが勝利を目指すという簡単な感動ストーリーに見える。でもまるでそんなことはない。では、何なのか。
何に拘るか。そこが大事なことだ。何が正しくて、何が間違いなのか、なんてやってみなければわからない。人生はひとつだから、やり直しなんかできない。わかっている。だからこそ、自分が信じた方法を貫く。この映画が描くのはそこだ。40代半ばを迎えたブラピが、この地味な役を演じた意味は大きい。20代のなんの実績もない青年とともに、人生の再チャレンジに挑む、というのもいい。(その青年が小太りのオタクであるのもいい) 彼の才能を信じ2人3脚で球界を向こうに廻して(というか、自分の球団の監督やスカウトからも反発を受けながら)戦う。GMという縁の下の力持ちの仕事。報われない。でも、やりがいはある。だから、やる。