これは原題のまま『アイアン・レディー』でよかったのではないか。いくらなんでも『鉄の女の涙』ってないだろ。しかも、それはサブタイトルだし。サッチャーという女性を、どう描くか、いろんな切り口があったはずだ。この映画の選択は悪くはない。年老いて、認知症になった彼女が、死んでしまった夫の亡霊とともに過ごす今の時間から、過去の歴史を振り返る。伝記物なのだが、彼女の偉業を描くと言うのではなく、今の彼女の現実と向き合うドラマとしての比重がかなり高いのがおもしろい。
自分が生きてきた歴史がこの国のひとつの時代を形作った。激動の時代、自分を信じて、国民のために、生きた。最初は、まるで相手にされなかった。たったひとりで男たちの中に入った。持ち上げられたり、貶められたり、でも、信念を貫く。フォークランド紛争のときの、毅然とした態度は、賞賛された。でも、不況から失業者が溢れかえる中、彼女の政策は非難を浴びる。
自分の力で、この国の誰もを幸せにできるように望んだ。でも、現実には、国政を為すためには、自分が産んだ子供たちや、夫を犠牲にする。大切な自分の家族すら幸せにできなかったのだ。母親がイギリスの首相で、でも、ちゃんと家事もこなして仕事も頑張る、なんて不可能だろう。
女であることで、男以上にさまざまな障害が立ちはだかる。でも、彼女は負けない。メリル・ストリープは、サッチャーを、本人と同じように、信念を持って演じる。我が道を行く、という彼女のスタイルは鼻につく。芝居の上手さも。でも、彼女にしか、こんなことは出来ない。それも事実なのだ。やってやろうじゃないか、という彼女の声が聞こえてくるようだ。どんなプレッシャーにも負けない。困難であればあるほど、燃える。男勝りとか、そんなんじゃない。私は私、という姿勢だ。どすこい、で押しまくる。凄い。
自分が生きてきた歴史がこの国のひとつの時代を形作った。激動の時代、自分を信じて、国民のために、生きた。最初は、まるで相手にされなかった。たったひとりで男たちの中に入った。持ち上げられたり、貶められたり、でも、信念を貫く。フォークランド紛争のときの、毅然とした態度は、賞賛された。でも、不況から失業者が溢れかえる中、彼女の政策は非難を浴びる。
自分の力で、この国の誰もを幸せにできるように望んだ。でも、現実には、国政を為すためには、自分が産んだ子供たちや、夫を犠牲にする。大切な自分の家族すら幸せにできなかったのだ。母親がイギリスの首相で、でも、ちゃんと家事もこなして仕事も頑張る、なんて不可能だろう。
女であることで、男以上にさまざまな障害が立ちはだかる。でも、彼女は負けない。メリル・ストリープは、サッチャーを、本人と同じように、信念を持って演じる。我が道を行く、という彼女のスタイルは鼻につく。芝居の上手さも。でも、彼女にしか、こんなことは出来ない。それも事実なのだ。やってやろうじゃないか、という彼女の声が聞こえてくるようだ。どんなプレッシャーにも負けない。困難であればあるほど、燃える。男勝りとか、そんなんじゃない。私は私、という姿勢だ。どすこい、で押しまくる。凄い。