ジェームス・キャメロン監督12年振りの新作である。『タイタニック』以降映画界から引退したのかと思うほどのブランクだ。その間、海底に潜って3Dのドキュメンタリー短編映画とかを趣味で撮っていたりはしたけど、もう映画は辞めたのか、と思った。
それだけに、今回の新作は嬉しい。期待に胸ふくらませて劇場に向かう。これは3D新世紀を告げる映画でもある。従来の見世物感覚の3Dではなく、映画の深化のために必要な技術として3Dを利用した革新的な映画、のはずだった。
だが、2時間42分にも及ぶこの超大作は、新しい映画としての可能性を持たない。思い返せばキャメロンはユニバーサルスタジオのために、かつて『ターミネーター2 3D』を作っている。あの時と同じだ。アトラクションとしての映像体験の域を出ない。それにしては3時間に及ばんとする上映時間は長すぎはしないか。
確かにここには確固とした世界観はある。テーマもある。だが、それはあまりに単純過ぎてこれではあれこれ言う気も起きない。どうしてここまで薄っぺらな台本を書いたのだろうか。彼の出世作でもある『ターミネーター』2部作や、『エイリアン2』を思い出させる映画でもある。だが、あの2作は映画史に残る傑作だったのに、これはここまで技術的には革命的なのに、映画はつまらなくなった。それって何なんだろうか。
キャメロンが久々に単純アクション映画の世界に戻ってきたのは嬉しい。だが、ドラマの構造の単純さが今回は作品の力にはならない。環境問題とか、戦争の構造とか、なんだかありきたりなテーマが鼻に付く。ここまでするのなら台本はもっと突っ込まなくてはならない。なのにそんなことはお構いなしで凄まじい迫力の3D映像での超ド派手映画を目指す。だが、なんだかいろんなことに対して遠慮しながら作られている気がする。キャメロンはこのお話に何を託そうとしたのか。人間の愚かな行為について未来を舞台に語る? それはないだろう。
緑の惑星パンドラ。その先住民と、移民してきたくせに我が物顔でふるまう人間。両者の戦いを描く戦争映画でもある。地下資源の利権を巡って先住民を彼らの聖域から力ずくで追い出そうとする。主人公の元兵士ジェイク(サム・ワーシントン)は先住民の身体(これがアバターだ)を通して、彼らの心に触れる。人間からここを守るための戦いは始まる。
後半はド派手な戦争シーンが延々と続く。凄まじい迫力だが、それもあまりに長いといささか退屈だ。西部劇ではあるまいに、ここまで単純な話でいいのかと思う。映画としての奥行きがないからだんだん眠くなるほどだ。
驚異の映像は、正直言って、すぐに飽きてくる。3Dは目が疲れる。眼鏡が重すぎて、鼻が気持ち悪い。だからなかなか映画に集中できない。無尽蔵の大予算によって作られたとびきり贅沢な映画なのだが、それもだんだん飽きてくる。だからこそ、お話の方にこそ仕掛けが必要になるのだ。なのに技術的な問題にばかり拘って映画自体が中途半端なものとなる。結局この映画への苦言はその1点に尽きる。作りものの映像は単調で、3Dによる奥行きの強調は、さらに話自体の奥行きのなさを露呈する。
期待が大きすぎたからがっかりの度合いも大きくなったようだ。ここまで書くほど酷い映画ではない。娯楽と思えばそれなりに楽しめるはずだ。
それだけに、今回の新作は嬉しい。期待に胸ふくらませて劇場に向かう。これは3D新世紀を告げる映画でもある。従来の見世物感覚の3Dではなく、映画の深化のために必要な技術として3Dを利用した革新的な映画、のはずだった。
だが、2時間42分にも及ぶこの超大作は、新しい映画としての可能性を持たない。思い返せばキャメロンはユニバーサルスタジオのために、かつて『ターミネーター2 3D』を作っている。あの時と同じだ。アトラクションとしての映像体験の域を出ない。それにしては3時間に及ばんとする上映時間は長すぎはしないか。
確かにここには確固とした世界観はある。テーマもある。だが、それはあまりに単純過ぎてこれではあれこれ言う気も起きない。どうしてここまで薄っぺらな台本を書いたのだろうか。彼の出世作でもある『ターミネーター』2部作や、『エイリアン2』を思い出させる映画でもある。だが、あの2作は映画史に残る傑作だったのに、これはここまで技術的には革命的なのに、映画はつまらなくなった。それって何なんだろうか。
キャメロンが久々に単純アクション映画の世界に戻ってきたのは嬉しい。だが、ドラマの構造の単純さが今回は作品の力にはならない。環境問題とか、戦争の構造とか、なんだかありきたりなテーマが鼻に付く。ここまでするのなら台本はもっと突っ込まなくてはならない。なのにそんなことはお構いなしで凄まじい迫力の3D映像での超ド派手映画を目指す。だが、なんだかいろんなことに対して遠慮しながら作られている気がする。キャメロンはこのお話に何を託そうとしたのか。人間の愚かな行為について未来を舞台に語る? それはないだろう。
緑の惑星パンドラ。その先住民と、移民してきたくせに我が物顔でふるまう人間。両者の戦いを描く戦争映画でもある。地下資源の利権を巡って先住民を彼らの聖域から力ずくで追い出そうとする。主人公の元兵士ジェイク(サム・ワーシントン)は先住民の身体(これがアバターだ)を通して、彼らの心に触れる。人間からここを守るための戦いは始まる。
後半はド派手な戦争シーンが延々と続く。凄まじい迫力だが、それもあまりに長いといささか退屈だ。西部劇ではあるまいに、ここまで単純な話でいいのかと思う。映画としての奥行きがないからだんだん眠くなるほどだ。
驚異の映像は、正直言って、すぐに飽きてくる。3Dは目が疲れる。眼鏡が重すぎて、鼻が気持ち悪い。だからなかなか映画に集中できない。無尽蔵の大予算によって作られたとびきり贅沢な映画なのだが、それもだんだん飽きてくる。だからこそ、お話の方にこそ仕掛けが必要になるのだ。なのに技術的な問題にばかり拘って映画自体が中途半端なものとなる。結局この映画への苦言はその1点に尽きる。作りものの映像は単調で、3Dによる奥行きの強調は、さらに話自体の奥行きのなさを露呈する。
期待が大きすぎたからがっかりの度合いも大きくなったようだ。ここまで書くほど酷い映画ではない。娯楽と思えばそれなりに楽しめるはずだ。