これでなんと5冊目になる。濱野京子の作品はいつも同じパターンなのだが、それがなんとも心地よくて癖になる。この1ヶ月で5冊も読んでしまった。たぶん、これでめぼしいものは、ほぼ制覇できたのではないか。5冊目にしてこれが最高傑作であろう、と思われる作品に出会えた。読みながら、こんなにもワクワクすることに興奮した。
しかも、今回は今までの(と、言ってもこの小説の後に書かれたものがほとんどなのだが)パターンとはちょっとタッチが違う。高校生を主人公にしたのも、そうだが、それ以上に今回は群れない。さらには、恋愛小説になっている。主人公は単独行動を取る。たったひとりでフラリと環状線(山の手線でした!)に乗り、見知らぬ駅で降りる。いつもと違ってラフな格好でコンタクトもせず、眼鏡をかけたまま。無防備な自分。素のままの自分で、そこから知らない町を旅する。そして、またもとの駅に戻ってくる。休日、人知れずそんな密やかな楽しみ。自分を孤独にする。ひとりであるということを、確認するための作業。
なのに、偶然彼と出会う。中学の頃の同級生、耕也。中2の時に転校してきて、卒業と同時にいなくなった。(再び転校しただけだが)彼が彼女の町歩きに同行する。邪魔だな、という思いと同時に、でも、ドキドキする気分もある。
僕も、彼女と同じで、町歩きが大好きだ。大阪の町中なら(大阪市内を中心にして、かなり広いエリアを歩いている)ほとんどすべて歩き尽くした。知らない町を歩くのが大好きだ。そこで暮らす人になった気分でブラブラする。知らない自分になれる気がする。今いる自分とは違うもうひとつの自分。もし、この町で暮らしていたならそこでどんな人生を送ることになるのか、なんて考える。この小説の彼女が歩いた場所なら、僕も歩いている。東京に行ったとき、歩いたことのあるエリアばかりだ。なんだかそれだけで親近感を抱いてしまった。単純な男だ。(もちろん、僕が、です。)最初の五反田なんて、五反田団の芝居を見に行ったとき、芝居が始まるまでの時間を利用してかなりいろんな所を、歩いた。、あぁ、どうでもいい話なのだが。
異質な同級生と関わる。2人は自分より2つ年上だ。事情があって現級留置になった生徒。彼らと関わることで、自分の世界が広がる。ひとりは出産して、子供がいる。もうひとりはミュージシャンで、ライブハウスでジャズをしている。少し大人の彼らと出会い、今まで見てきた世界よりも、ほんの少し違う風景と出会う。彼らとのエピソードを起点にして話もまた広がる。でも、ベースは彼女と耕也の似た者同士の話だ。
子供と大人のはざまで、自分を持て余している。そんな少年少女たちの時間を丁寧に書き留める。何か明確なメッセージを伝えるのではない。ただ、今ある自分に違和感を抱く彼らをリアルに捉えたい。そんな作者の想いが細部まで染み渡る。とてもいい小説だ。
しかも、今回は今までの(と、言ってもこの小説の後に書かれたものがほとんどなのだが)パターンとはちょっとタッチが違う。高校生を主人公にしたのも、そうだが、それ以上に今回は群れない。さらには、恋愛小説になっている。主人公は単独行動を取る。たったひとりでフラリと環状線(山の手線でした!)に乗り、見知らぬ駅で降りる。いつもと違ってラフな格好でコンタクトもせず、眼鏡をかけたまま。無防備な自分。素のままの自分で、そこから知らない町を旅する。そして、またもとの駅に戻ってくる。休日、人知れずそんな密やかな楽しみ。自分を孤独にする。ひとりであるということを、確認するための作業。
なのに、偶然彼と出会う。中学の頃の同級生、耕也。中2の時に転校してきて、卒業と同時にいなくなった。(再び転校しただけだが)彼が彼女の町歩きに同行する。邪魔だな、という思いと同時に、でも、ドキドキする気分もある。
僕も、彼女と同じで、町歩きが大好きだ。大阪の町中なら(大阪市内を中心にして、かなり広いエリアを歩いている)ほとんどすべて歩き尽くした。知らない町を歩くのが大好きだ。そこで暮らす人になった気分でブラブラする。知らない自分になれる気がする。今いる自分とは違うもうひとつの自分。もし、この町で暮らしていたならそこでどんな人生を送ることになるのか、なんて考える。この小説の彼女が歩いた場所なら、僕も歩いている。東京に行ったとき、歩いたことのあるエリアばかりだ。なんだかそれだけで親近感を抱いてしまった。単純な男だ。(もちろん、僕が、です。)最初の五反田なんて、五反田団の芝居を見に行ったとき、芝居が始まるまでの時間を利用してかなりいろんな所を、歩いた。、あぁ、どうでもいい話なのだが。
異質な同級生と関わる。2人は自分より2つ年上だ。事情があって現級留置になった生徒。彼らと関わることで、自分の世界が広がる。ひとりは出産して、子供がいる。もうひとりはミュージシャンで、ライブハウスでジャズをしている。少し大人の彼らと出会い、今まで見てきた世界よりも、ほんの少し違う風景と出会う。彼らとのエピソードを起点にして話もまた広がる。でも、ベースは彼女と耕也の似た者同士の話だ。
子供と大人のはざまで、自分を持て余している。そんな少年少女たちの時間を丁寧に書き留める。何か明確なメッセージを伝えるのではない。ただ、今ある自分に違和感を抱く彼らをリアルに捉えたい。そんな作者の想いが細部まで染み渡る。とてもいい小説だ。