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映画・演劇のレビュー

Gフォレスタ『100年先も手をつなごう』

2007-02-11 22:02:25 | 演劇
 どうしてこういうコスプレ芝居として、このお話を作ろうとしたのだろうか。もっとさりげない、どこにでもある家族の物語を見せてもらうつもりだっただけに、かなりの驚きがある。「愛とはなにか」なんて問いかけからスタートして、あの大仰な衣装とメイクで話が始まった時には、いったい何が起きたのか、と思った。

 きっと丸尾さんは、現代のシェークスピアを目指し、この芝居を無国籍の神話として作ろうとしたのではないか。

 ストーリー自体はとても単純で、どこにでもありそうなくらいにささやかだ。町工場の頑固オヤジと、その子供たち。しっかり物の姉と、ちょっとはねっかえりの弟。母の死後、父は新しい家族としてある女性とその娘を迎える。弟はその娘と恋に落ちるが・・・

 このシンプルなストーリーはA,Bヴァージョン用意された2通りのストーリーと、異なる2つの結末により、あらゆる物語は、いろんなバリエーションを生み、様々な可能性を孕み持つことを示唆する。

 今回の試みは、昨年の<西洋かぶれ>での『新ハムレット』を上演した流れで生まれてきた企画だろう。あの時はリーディングというスタイルだったが、その体験から、丸尾さんはシェイクスピアのとてもシンプルな愛の物語という枠組みが気に入ったのではないか。それをいかに自分のものとして見せるか。

 ナレーションの多用、暗転により、メリハリをつけて決して軽く流したりしないで、必要以上に重いものを作り上げていく。ストーリーの面白さで見せていくのではなく、なんでもない物語の中にある普遍的な愛の形を提示する。それが、成功しているとは、言い難いが彼らの敢えて困難な作業に挑んだチャレンジは、高く評価されてもいい。

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