さあ、映画が始まる。映画の世界で夢を見てくれ、とでも言わんばかりのオープニングはドキドキさせられた。語り部である男がバスに乗り映画のセットである上海の町にやってくるシーンである。しかし、ドラマが始まると途端に減速する。表面の華麗さと反比例して、ドラマを構成していく力がない。ピーターチャンはいったいどうしたんだろう。
ミュージカルというスタイルと内容があまりしっくりいかない。これだけ大変な仕掛けを用意したのに、それがこの2人の物語に生かしきれていない。劇中劇となる映画の世界と現実の2人の関係は、ほぼ同じ設定にも関わらず、うまくシンクロしていないから、ストーリー展開に2倍の時間を要してしまい、もたもたした映画になってしまったのも、よくない。
10年前の貧しかった頃、北京で2人が暮らしていた日々、そして、今、上海できらびやかな映画界の身を置き、それぞれトップスターになって再会したこと。この2つの時間をいかに埋めていくか。それが、映画のテーマなのだが、ミュージカルシーンの段取りに手をかけすぎて、大事な2人の心の問題が描ききれていないのだ。
ピーターチャンは名作『ラブソング』から10年、あまりにブランクが長すぎた。しかも、こういう話はもう『ラブソング』でやり尽くしたのに、なぜ今回もこれでいこうとしたのか。長い歳月の中で愛は変わることなく持続するのか、という問題は彼にとっては大きなテーマかも知れないが、それにしても、もう少し違った切り口を見せて欲しかった。
ミュージカルというスタイルと内容があまりしっくりいかない。これだけ大変な仕掛けを用意したのに、それがこの2人の物語に生かしきれていない。劇中劇となる映画の世界と現実の2人の関係は、ほぼ同じ設定にも関わらず、うまくシンクロしていないから、ストーリー展開に2倍の時間を要してしまい、もたもたした映画になってしまったのも、よくない。
10年前の貧しかった頃、北京で2人が暮らしていた日々、そして、今、上海できらびやかな映画界の身を置き、それぞれトップスターになって再会したこと。この2つの時間をいかに埋めていくか。それが、映画のテーマなのだが、ミュージカルシーンの段取りに手をかけすぎて、大事な2人の心の問題が描ききれていないのだ。
ピーターチャンは名作『ラブソング』から10年、あまりにブランクが長すぎた。しかも、こういう話はもう『ラブソング』でやり尽くしたのに、なぜ今回もこれでいこうとしたのか。長い歳月の中で愛は変わることなく持続するのか、という問題は彼にとっては大きなテーマかも知れないが、それにしても、もう少し違った切り口を見せて欲しかった。