先日の3年生引退公演からまだ2週間くらいしか経たないのにもう春公演。しかも今回は2本立て公演を実施。例年のことながらこのスケジュールでよくやるよ、と感心する。この時期学校はとてつもなく忙しいにも関わらず、キンランは(というか、山本先生は)毎年3月に2作品をほぼ連続で上演する。すごいエネルギーだ。
今回、真正面から青春の光と影を描く2作品をぶつけてくる。若いってすごいな、と思う。この1時間ほどの中編2作品は、いずれもとてもシンプルな構造で単純すぎて少し拍子抜けするくらいだ。正直言うと2本とも作品としてはいささか物足りない。だけど、この素直さは悪くない、とも思う。いや、気持ちがいいくらいだ。敢えてこのストレートな作品を勢いだけでそのまま見せることで、伝えたいものがある、とでも言いたかったのか。
女の子と男の子の恋愛はダメと張り合う男女グループ。そんな中で、ひとりの男の子がひとりの女の子に恋をする、という『恋の話』と、両親からの虐待を受ける兄と弟が現実から離れて宇宙を旅する夢を見る『宇宙の子供たち』。この2本を通して高校生たちが今の自分たちと真っ向から向き合う。これはこれでとても潔い芝居だと思う。