とうとうこのシリーズも佳境に入ってきた。そして、次回は最終回。今回はその直前。だから、こうなると思っていた。それはタイトルを見たときから、一目瞭然だ。暴れるな、と思ったのだ。そして、その通り大暴れしてくれた。ここに至ってたかせさんが大人しくしているわけがない。だって、もうゴールが見えてきたのだから、何しても大丈夫。そんな安心感から、今回は好き放題。(というか、ずっと好き放題しているけど)
まず、苦情から。今回の作品はいずれも長い。少し長すぎるのは、それだけ、たかせさんが調子に乗っているからだ。筆が進むので止まらない。でも、ショートショートなのである。短ければ短いほどいい。切れが大事。なのに、書きすぎる。特に、終わらせ方がまずい。もう、言いたいことは終わったね、と思ったところから、さらにまた、繰り返す。さすがに、自覚しているから、最後にうまいオチをちゃんと用意するけど。そんなことせず、もっと早い時期に終わらせていたならスマートなのに、と思う。今回の5本とも、そう。ほんの少し冗長なのだ。(だから、上演時間も5本なのに2時間を超えてしまった)
1話目の『ホストダンス』と4話目の『セクシャルクイズ・セクシードッチッチ!』は構わない。あれは最初からそういうネタだから。向田さんに仕切って貰ってやりたい放題でいい。しかし、あとの3本はまずい。
いずれも、とても面白いアイデアで、笑わせるし、しんみりさせる。それだけに、切れが大事だと思う。だいたい『青春デリバリー』なんて長編にも出来る。(5話目の『娘はやれんが、娘さんをください』も、だ)切ない恋心を真摯に描いている。響子さんを演じた丹下真寿美が素晴らしい。男(なましまひろき)とは同級生なのに、大人と子供のような距離感。それが切ないだけではなく、そこにできた時間の経緯が見事に表現できているのが凄い。再会を通して、彼が動揺し、変わっていくのに、対して、彼女は全くぶれない。そのたくましさ、いじらしさがこの作品の魅力だ。彼女のポーカーフェイスが、矜持に見える。
2話目の『失失楽園』も含めてとてもよく出来た発想で、たかせさんは絶好調だ。こういうエロチックなお話は実はスケベ(まぁ、男はみんなスケベですが)な彼にとって得意中の得意。こういうお話だからこそ、本音が見事に語れる。それだけに全体的に少しずつ長いのは惜しいと思うのだ。もっと、見たい、というところで、終わらせることがプロの仕事ではないか。まぁこんなふうに、しつこいくらいやってしまうのも、彼らしいけど。