ドラッグストアを舞台にしたコメディ。妊娠検査用具を大量に買いに来る謎の男を巡るお話だ。そこにパソコンの廃棄も絡めて描く。バカバカしい設定でしっかりと笑わせながら、そこから生命を巡る物語へと展開させていく。妊娠、出産から育児、成長。人間がたどるドラマを、生命の誕生から死までも視野に入れて90分で見せていく。シリアスとナンセンスのバランスがいい。それを軽いタッチのままで最後まで見せていくのもいい。
若手劇団員たちの初々しい芝居のセンターに主役として伊藤晃を配して、わかりやすく、楽しい芝居を立ち上げていく。ドタバタ騒ぎの1日を描き、ラストはちゃんとパソコンの死で締める。全体のバランスが絶妙で内容に無理がなく余裕の芝居なのだ。この肩の力の抜けた実に2劇らしい芝居を支持したい。伊藤さんだけではなく、演出の阿部さんまでも、役者として若手をサポートしているというのもなんだか嬉しい。
コロナウイルス感染予防のため、公演中止が相次ぐ中で、観客全員マスク着用での上演は異様だったが、適切な判断だと思う。今後、他の劇団の上演はどうなるのか、わからないけど、出来ることなら、きちんとした対応の上で、可能な限り上演はしてもらいたいが、どうなることだろうか。