劇場で予告編を見たときからかなり気になっていた。『交渉人』の監督作品だから、単純なアクションでも、深刻な社会派でもない。きっとバランスのいい傑作ではないか、と期待した。だが、1月の劇場公開時はすぐに上映回数が減り、一瞬で消えてしまったため、見ることが出来なかった。最近はこの手のアクション映画でさえこの体たらくだ。DVDになり、ようやく見たのだが、目撃した映画は、予告編で受け止めた想像を遙かに超える。
これは単純な復讐物語なんかではない。国家を敵に回しても一歩も譲らない男の狂気の沙汰が描かれる。強盗に妻子を殺された男が、犯人を野放しにする国家の在り方に異議を唱え、戦う。10年間かけて綿密な計画のもと、完璧な準備をして挑む。残酷でとてつもない行為を実践していく。
その行為はどこまでエスカレートしていき、とどまるところを知らない。正義のため妻子を殺した犯人に対して制裁を加えるところまでで終わるのが『狼よ、さらば』の時代からのパターンである。やられたらやり返す。しかし、彼がターゲットにするのは、犯人を自由にする司法制度である。そして、その背後にある国家のシステム自体を壊してしまうのだ。その為には少しくらいの罪のない人の犠牲は仕方ない(!)ことだ、と思う。それって、罪もない人たちをどんどん殺していくことにもなる。
残酷すぎるやり方。冷酷な対応。これは彼が普通の人間ではなく特殊な才能の持ち主だったから出来たことなのだが、それにしてもこの徹底ぶりにはついていけない。終盤どんどんエスカレートしていく中、少し嫌な気分になる。ここにはもうカタルシスはない。
これは単純な勧善懲悪ものではなく異常者の犯行になる。爽快感はない。とてもよくできた映画で、ラスト直前まで、ハラハラさせられ、先の読めない展開も面白かった。しかし、ここまで後味の悪い映画になるとは、想いもしなかった。これではヒットしないわけだ。それにこの日本語タイトル悪すぎ。地味だし。これでは最初から「見に来ないでください」と宣伝しているようだ。
これは単純な復讐物語なんかではない。国家を敵に回しても一歩も譲らない男の狂気の沙汰が描かれる。強盗に妻子を殺された男が、犯人を野放しにする国家の在り方に異議を唱え、戦う。10年間かけて綿密な計画のもと、完璧な準備をして挑む。残酷でとてつもない行為を実践していく。
その行為はどこまでエスカレートしていき、とどまるところを知らない。正義のため妻子を殺した犯人に対して制裁を加えるところまでで終わるのが『狼よ、さらば』の時代からのパターンである。やられたらやり返す。しかし、彼がターゲットにするのは、犯人を自由にする司法制度である。そして、その背後にある国家のシステム自体を壊してしまうのだ。その為には少しくらいの罪のない人の犠牲は仕方ない(!)ことだ、と思う。それって、罪もない人たちをどんどん殺していくことにもなる。
残酷すぎるやり方。冷酷な対応。これは彼が普通の人間ではなく特殊な才能の持ち主だったから出来たことなのだが、それにしてもこの徹底ぶりにはついていけない。終盤どんどんエスカレートしていく中、少し嫌な気分になる。ここにはもうカタルシスはない。
これは単純な勧善懲悪ものではなく異常者の犯行になる。爽快感はない。とてもよくできた映画で、ラスト直前まで、ハラハラさせられ、先の読めない展開も面白かった。しかし、ここまで後味の悪い映画になるとは、想いもしなかった。これではヒットしないわけだ。それにこの日本語タイトル悪すぎ。地味だし。これでは最初から「見に来ないでください」と宣伝しているようだ。