習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『虹色ほたる』

2012-05-21 19:51:56 | 映画
 1977年という設定だ。昨日見た『デメキング』といい、これといい、偶然だろうが、70年代がちょっとしたブームだ。(といっても、この2本だけだし、僕が偶然見ただけだが)

 あの夏の日を描く。ダムの底に沈んだ村。最後の夏の記憶。少年は偶然そこに連れていかれる。ひと月ほどの時間をその村で過ごすことになる。懐かしい風景、自然、が描かれる。その中で夏休みを楽しむ子どもたちの姿が描かれる。

 少年は、交通事故で死んだ父との想い出の場所であるこの村に、たったひとりでやってくる。彼がここに来た理由は多くは語られない。父の死を受け入れるためか。あの日のように、無邪気にカブトムシを取るためか。よくはわからないけど、確かに彼はやってきた。感傷にふけるためとは言わない。単純なリターンマッチでもあるまい。

 ここで、とんでもない事になる。突然の大雨で足を滑らし、流されてしまう。そして35年前、ダムの底に沈む直前の時間にタイムスリップする。なぜ、そんなことになったのか。それもちゃんとは語られない。へんなじいさんが出てきて彼に水を与えたお礼で少年の命を助けるとか、なんだか、とても大雑把な映画だ。母親なんて最初のシーンだけで後は出ない。こんないいかげんな設定で1本の映画を作っていいのだろうか? 父親の事故もいつのことなのか、わからない。まるでリアルではないお話だ。児童文学の映画化らしいが、原作はちゃんと辻褄があうのだろうか。いろんなところが、安易なまま描かれる。

 しかも、これはアニメーションである。一応子供向けのようだ。子供に見せるからお話は手抜きしたのか? そんなはずはない。じゃぁ、何故こんな設定なのか。それから話は変わるけど、どうしてこんな時期に、どういう理由で公開されるのか。そのへんは定かではないけど、公開3日目の劇場には5人しか客がいなかった。しかも子どもはひとりもいないし。一応これは家族向け映画のはずだ。なのに、こんな時期に公開して、どうするつもりなのか。

 何がしたいのか、誰に見せたいのか、まるでよくはわからない謎の映画なのだが、見ていて、なんとなく心洗われる気がした。少女との交流や、その村で出会った少年との友情とか、定番展開だが、悪くはない。ラストの再会も、なんだか、よくわからないまま、押し切られる。へんな映画だ。

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