習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ここに幸あり』

2008-10-24 23:44:22 | 映画
 イオセリアーニの4年振りの新作である。相変わらずのノンシャランぶりで、彼のやることはいつもいつも同じだ。それがうれしい。

 一国の大臣が辞職させられる。なのに彼はその大事件を人事みたいに受け止める。まるで何とも思ってないだけでなく、仕事から解放されて、無邪気にのんびり人生を送ろうとする。お金なんかなくても、家もなくてもなんとかなるさ、と暢気に構えている。そして、現になんとかなっていく。

 お酒を飲んで、みんなで騒いで、人生ってなんだかとても楽しいぞ、と思わせる。いいのか、こんなことで、なんて思わない。いいのだ、こんなことで。イオセリアーニがこう言ってるのなら、これでいいのだ。人生なんかケセラセラ、なるようになるのだ。見ていてなんがか笑けてくる。いつもの事とはいえこのノーテンキってすごい。

 原題は『秋の庭』。なんだか大仰な日本語タイトルとは違いとてもおとなしい。だが、映画のほうはそんなシックな感じではない。それから、ミシェル・ピコリがおばあさん役で出ている。でかいばばぁだなぁ、と思っていたが彼でした。こういう遊びも作者の余裕の為せる技だろう。それもまたおもしろい。

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