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映画・演劇のレビュー

ドラマティック・カンパニー『不肖の畜生』

2007-12-27 19:59:04 | 演劇
 劇団ドラマティック・カンパニーの復活公演。なんて言いながら、別に特別なことはない。これではいつものdracomじゃないか、なんて僕は思う。一応セリフのある普通の劇にはなっているが、でも、彼らがふつうの会話劇なんかをするはずもない。

 それにしてもこれはぐだぐだ喋っているだけで、何の意味もない芝居である。ストーリーのあるドラマではない。文字通り「ドラマ的」だが、「ドラマチック」ではない。ここにはお話らしいお話はない。

 何もない時間が描かれていく。それではこれは青年団のような芝居なのか、と言われたら、返答に困るが、まぁ、違うとはっきり言っておいたほうが、無難だ。これには、青年団のような深い意味はない。これはドラカンなのだから、そんなのがあったならなんだか困る。

 とはいえ、「えっ!、これでおしまい?」と、思わせるくらいにいい加減なところで唐突に終わってしまうのには見ていて唖然とさせられる。

 芝居の前半は、政府による重大発表を待つ時間が描かれる。ラジオ局の放送ブースの中で、会見の時間を待つ3人。しかし、会見が始まります、というところで終わってしまう。その後、なんらかの、フォローがあるかと思ったがその後は、荷物を待ち続ける話が始まってしまう。この2つのエピソードがいかにリンクしていき、どこに帰着していくのか、少し期待したが、当然のようになんらフォローしてくれない。だいたい筒井潤さんはそんな芝居の作り方をしたりするような人ではない。

 だが、彼は人をはぐらかそうとしているのではない。大きなドラマを見せるフリをしながら、その中にあるどうでもいい部分を見せようとするのだ。噛みあわない会話、気まずい時間。「とてもくだらなくて笑える会話劇」を目指したようだが、それを通して何を見せたかったのかよくわからない。まぁ、実言うと彼は何も見せる気はないのかもしれない。

 相変わらず実験精神だけは旺盛で、今回は、ドラマの背後にあるものではなく、表にあるものを描く。この芝居には意味はない。しかし、この無意味をしっかり描く。それでこそ筒井さんだ。

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