習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『藍色愛情』ほか

2007-12-25 20:46:00 | 映画
 この1週間6本のDVDを見たが、全体的にはあまり面白いものはなかった。それぞれは決してつまらないわけではないが、何か物足りないのだ。ここでは簡単に感想を書いておく。

 『山の郵便配達』のフォ・ジェンチィ監督の『藍色愛情』という未公開作品を発見して、レンタルしてきたのだが、「これでは劇場公開はないな」という作品だった。まず、ヒロインがわざとらしくてよくない。彼女に感情移入できないし、刑事もののスタイルを取るが、テンポが悪く、事件自体もなんだか、という感じだ。フォ・ジェンチィとしては新境地を目指したのかもしれないが、これでは駄目だ。
 
 ロビン・リー監督、ビビアン・スー主演の『靴に恋する人魚』はとても可愛らしい映画だが、話が単調すぎて後半飽きてくる。丁寧に作ってあるのにもったいない。

 ポール・バーホーベンが20数年振りに祖国オランダに戻って撮った『ブラックブック』は自分のやりたい事を全力でやり尽くした充実感がしっかり伝わってくる力作。バーホーベンらしいエロもしっかりあるが、これは彼がどうしても作りたかったエンタテインメント歴史大作。ナチによるユダヤに対する残虐な行為をオランダを舞台に描く。レジスタンスと協力して生き延びるために戦うたくましい女性を主人公にして、2時間半に及ぶ手に汗握る大作。緊張感溢れる作品。メッセージとエンタテインメントがしっかり融合した大人の映画だ。実は、今回の6本でこれだけは拾い物だった。

 『あなたにしか聞こえない』は乙一原作のワンアイデアの小品。成海璃子は『あしたの私の作り方』とよく似た役だが、こちらはちょっと単純すぎて、あの映画には及ばない。もう少し話にひねりが欲しい。

 『愛するために、ここにいる』はとても素朴なタッチがカウリスマキを思わせるフランス映画。たわいない話を丁寧に見せてくれる。施設に入っている老いた父親のところにまめに通う真面目な50男が主人公。彼がタンゴ教室で出会った30代の女性に恋をする。ちょっと『シャル・ウィ・ダンス?』してる。映画自体は悪くはないが、もう少し何かが欲しい。

 以上5本。ほんとなら1本ずつゆっくり書いておきたいのだがなんだか時間もなくて、かと言って何も書かないのもなぁ、と思い短評を、と思ったがあまりうまく書けない。もう1本の『ラブデス』は既に書いた。あまりのことでこの欄には収まらない映画だった。

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