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映画・演劇のレビュー

『極道の妻たち NEO』

2013-05-28 22:08:28 | 映画
 8年振りとなるシリーズ最新作、ということらしい。だが、シリーズの新作というより、極妻のパチモノって感じだ。低予算で極妻もどきの映画を作った、って感じ。主演も黒谷友香と原田夏希(なんと彼女が悪役を演じているのだが、そのメイクがまた凄い。原形をとどめていない!)とか、って、それってあまりにしょぼい。もともと極妻はやくざ映画の変わり種で、視点を少しずらしただけ。東映が得意のやくざ映画。だから最初は五社英雄に任したが、だんだん中島貞夫とか降旗康男とか、任侠映画や実録映画で気を吐き、「やくざ映画なら任せなさい」という人たちが手掛けた。岩下志麻を主役に据えて、彼女がいない場合はそのクラスの大女優を持ってきた。だが、高島礼子に変えたところから低予算映画に変化し、終焉を迎える。

 今回このキャスティングを見たとき、あまりやる気はないな、と誰もが思ったはずだ。でも、こんな時こそ、思いもしない拾い物が生まれる。香月秀之監督は『君が踊る夏』という思いもしない拾い物を作った人だ。だから、ほんのちょっと期待もした。

 だが、最初の5分でそんな甘い期待は粉砕される。なんだ、これは! 学芸会ですか。しかも、かなりレベル低いし。緊張感も何もない。女子高生がやくざに追われている。逃げ込んだ街角のしょぼいブティックの店長が黒谷で、という展開からもうやる気のなさが満ち溢れる。もうストーリーを書く気も出ない。

 もうどうでもいいから、せめてその女子高生がやくざ修行でもする話にしてよ、と思うが、この女子高生がまた、へぼい。もう少し華のある役者を(というか、タレントでもいいし)呼んできて欲しい。一応視点となる役なのだ。なのに、どこにでもいるような生意気なガキで、映画としてのリアリティーすらない。一事が万事この調子なのだ。

 監督と原作者は何度も「これは愛の物語です!」と舞台挨拶で言っていたし、最初にそれがご丁寧にも字幕で出るし、何もそこまで、と思うけど、それくらい言われても、まるで噴飯ものだ。それは、ない、ない、と思った。

 ここまで意味のない話をよく作れたものだ。パターンにすらなってない。最後の女同士の一騎打ちとか、クライマックスなのにバカバカしくて笑えもしない。男たちのふがいなさは、許すけど、でも、こんなあほなやくざばっかりなら、世の中平和や、と思わせていいのだろうか? 
昔プログラムピクチャーの添え物映画としてなら、こんなレベルの映画も平気で作られていたが、この今の時代にこれはないと思う。衝撃のへぼ映画。


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1 コメント

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ガッカリ (にゃこまる)
2013-10-05 20:02:25
今朝ラブホで見てきましたが…今までのシリーズのイメージで見たらひっくりコケました!
あまりにショボくて茶番劇すぎて。
きっと、これは今までの極妻シリーズのパクり映画なんだろうなと思って最後まで見たら、脚本の名前の所に家田荘子の名前があって、再度コケました!
彼は「もうヤクザ自体が昔と今とじゃ全く違うから、極妻ももうネタ無いんやろ」と。
こんな内容なら洋画見とけば良かった。

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