ゴードン・チャン監督の渾身の力作。先にツイ・ハークの同じような歴史アクション大作『ライズ・オブ・ザ・シードラゴン』を見て、がっかりしているから、もうこの手に映画はしばらく見ないつもりだった。だが、『ライズ・オブ・ザ・シードラゴン』のメイキングを見て、あれが、中国映画史上空前絶後の大作であり、本国で大ヒットしたことや、その苦心の跡や、困難な映画を必死になって、楽しみながら作る喜びを感じ、なんだかそこには共感してしまった。しかも、うちの嫁がこの作品を見て、とても気に入ったという話を聞いたりするうちに、なんだか、自分はこの映画に偏見を持って接したのではないか、と少し不安になってきたのだ。
そこで、再度見直すのもありだが、さすがにそれもなぁ、と思い、もう1本の中国映画の大作に挑戦してみることにした。要するに、もしかしたら、僕はこの手のジャンル映画に偏見があるかどうかを確かめるためだ。こちらも絶賛され、本国では大ヒットしたみたいだ。
「皇帝の密命を帯び、それぞれ特殊能力を持った4人の秘密捜査官「四大名捕」の活躍を描いた中国の人気武侠小説」ということらしいが、これって明らかにアメリカ映画の『ファンタステック・フォー』じゃないですか。こんなパクリありか? まぁ、なんでもあり、だけど。
やはり、同じように、派手だ。それから、贅沢な作り方だ。湯水のように予算を使い、できる限りのことへと挑戦している。そういう意味でも両者は似ていた。で、僕の感想だが、やはり、退屈だった。それって、やはり、僕の感性に難あり、ということだろう。(ちなみに、嫁はこれもなかなかよかった、と言っていた)
派手は見せ場の連続で、手に汗握るけど、お話がしょぼい。だから、せっかくのアクションや仕掛けが立たない。ストーリーのしょぼさの前で総崩れしていくのだ。映画に於いて一番大事なものは、お話のおもしろさであることに異論はないだろう。面白いからアクションが弾ける。主人公たちも輝く。どんな単純な話であろうとも、いい。そのストーリーが映画を引っ張っていき、ハラハラドキドキさせることで、アクションや特撮技術も映える。そんな当たり前のことを改めて感じさせられた。3部作として作られたこの作品はすでに本国ではすべて上映された。予想通りのヒットで、監督は胸をなでおろしたはずだ。もしかしたら、2作目や完結編は面白いのかもしれないけど、僕はもう見ない。