スケールの大きなソードアクションを期待したのだが、そうではなく、スタイリッシュで美しい映画だった。でも、あまりに単純すぎて、少し退屈する。こんなにもドキドキ感のない映画では2時間でもきつい。主人公4人の関係性(実際は3人でひとりは蚊帳の外だ)のみで、ストーリーを引っ張っていくが、それではさすがに世界が狭すぎてドラマには奥行きが生じない。
硬い誓いで結ばれた3人。だが、ひとり(イ・ビョンホン)の裏切りで改革は頓挫する。権力を手にしようとした男(もちろん、イ・ビョンホン)が、裏切った恋人と、娘によって殺されていく、という図式だけで、1本の映画をひっぱっていくのだが、あまりに単純化された物語と、様式美のような華麗な映像だけでは無理。
人の業のようなもの(運命的なもの)と、人の内面の揺れ動くもの。そのバランスによって作品を引っ張って行くしかない。変わらないものと、変わっていくもの。その2つがシンプルなドラマの中でうまく融合したとき、ドラマには奥行きが生まれる。さらにはそれがアクションシーンとも融合し、結晶化したとき、美しい伝説となる。そんな映画を目指したのだろうが、なかなかそこまでは至らない。
結果的には、ちょっとカッコつけただけの映画に終わる。先にも書いたようにドラマとしての奥行きに欠く残念な作品になってしまった。まぁ、晩年の黒澤明だって、『乱』で同じような失敗をしているのだから、こういうタイプの映画は簡単ではない。