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映画・演劇のレビュー

『ケルベロスの肖像』

2014-05-11 20:22:40 | 映画
 海堂尊の小説を映画化した『チームバチスタの栄光』からスタートしたこのシリーズは、映画では竹内結子と阿部寛が主演して2本作られた。どちらもよくできた作品でよかったのだが、その2作品も含めて、さらに数作品がTVドラマとして制作された。そちらは伊藤淳史と仲村トオルが主演する。今回の映画は、なんとそのTV版のスタッフ、キャストによるものだ。

 よくあるTVシリーズの劇場版なのだが、先行する映画シリーズを差し置いてTVシリーズに映画化を乗っ取られる、ってなんか変な感じだ。映画よりも、TVのほうが影響力が大きいという事実を突き付けられたみたいで、なんだか複雑な気分だ。別に映画はTVより偉いだなんて、そんな封建的な考えは持ち合わせていないけど、先の映画2作品との比較をついついしてしまう。

 もちろん、結果は明白だ。本作の負けである。残念だが、これは劇場にかかるTVでしかない。映画としての冒険が全くない。いろんな意味でTV的な作品なのである。こじんまりとして、当たり障りのない。つまらないことはないけど、わざわざ劇場にまで行ってこんなものを見たくはない。そんな気分にさせられる。じゃぁ、見るな、と言われそうだが、どんなにつまらないものでも、見る機会があるのなら、ついつい見てしまうのが、映画好きの悲しい性だ。(金券ショップで700円で売っていたから、ついつい安さにつられて買ってしまったのであった。情けない。)でも、つまらない映画であっても、つまらないなりに楽しめる。

 伊藤淳史が主演する映画なんて、なかなかないし。しかも、彼は主演なのにまるで見せ場がない。このシリーズは、いつもそうだった。竹内結子だってそうだった。この役は、交通整理の狂言回しでしかないのだ。だから、竹内結子は、辞めたのかもしれない。それに阿部寛は今売れっ子で忙しいし。なんだかネガティブな要因しか残らないけど、この映画はそれなりのヒットがなされたみたいだ。TVの影響力は大きい。恐るべしTV。

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