フランク・ミラー原作、脚本、監督作品。シリーズ第2弾となる。共同監督として今回もロバート・ロドリゲスが名を連ねる。彼が実質的な作業を嬉々としてこなしたのではないか。原作のパルプマガジンのファンで、その世界を映画として再現することを楽しんでいる。もちろん、作者であるフランク・ミラーも同じだろう。これはそういう趣味の映画なのだ。
だから、万人向けではない。この世界が好きな人限定の映画だ。モノクロに一部着色した映像には、何の意味もない。ただ、それを面白がっているだけ。だから、そこにある種の法則性を読む必要もないし、意味もない。モノクロはコントラストのはっきりした黒と白の世界だ。もちろんそれは黒を強調するため。シャープでスタイリッシュな映像で、短いエピソードの羅列を見せる。全編をモノローグで見せていくのも、これが大きなお話ではなく、心象風景に近いお話で、個々のエピソードの主人公の心の声を掬い上げるためだ。ここに必要なものはドラマではなく、あくまでもシン・シティという「世界」を描くことに意味がある。
フランク・ミラーの脳内のイメージの連鎖に心地よく染まれる人は、イージー・リスニングのように楽しめる。なんとなく、見ているだけ。気が付いたら終わっている。あれっ、と思ってからもう一度最初から見る。そうしてエンドレスに再生する。ということは、これは映画館向けの映画ではない。でも、映画館の暗闇にどっぷり浸ってみるほうが好ましいから、自宅ではなく、やはりこれは映画館がいい。出来たら今はもうない場末の劇場がいい。そこでならきっと入れ替えなしで一日中上映しているはずだからだ。好きなところから見て、最後まで、何度でも見れたならいい。飽きたら映画館を出るといい。シン・シティを訪れるように。
ここに登場する男女は、みんなかっこいい。めちゃかっこつけしているし。気取ってるのだ。これはそんな世界にどっぷりと漬かって103分の至福の時間を過ごせる人御用達の映画だ。
前作で死んでしまったブルース・ウィリスがちゃんと今回も出てくるのもいい。なんでもありの映画なのだ。もちろんちゃんと死者として登場する。けだるいナレーションを連発して、ムードを盛り上げる。余談だが、クレジットの順番で一番にミッキー・ロークが来ていた。なんじゃそれ、である。