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映画・演劇のレビュー

『戦慄のリンク』

2023-01-26 11:33:25 | 映画

これは鶴田法男監督が中国に呼ばれて撮った映画だ。2020年作品だがようやく日本でも公開された。彼は一世を風靡したJホラーの草分けだが、中田秀夫の後塵を拝し、なかなか評価されなかったし,真価を発揮できなかった。そんな彼が今回、オール中国人キャスト(メインスタッフは日本から連れて行ったが)で、日中合作ではなく純中国映画に挑む。(原題は『網路凶鈴』)これはちょっとしたチャンスだったのではないか。だから少しそそられるではないか、と思えた。だから、(たまたまうまく時間が合い、そんな時間の関係もあるのだけれども)怖いもの見たさで見ることにした。もちろんあまり期待はしてない。でも、もしこれが凄い映画なら、と一抹の期待はある。ドキドキしながら劇場へGO。

まず、結果から。困った。全く怖くないのだ。これは致命的ではないか。そして肝心のお話のほうだが、こちらもまた。中国で人気の小説家マ・ボヨンの原作をヤン・ヤンという人が脚本にしたようだが、まるで面白くない。ネット小説を読んだ人が次々と死んでいくという話なのだが、これっていまさらの『リング』のパクリではないか。しかも呪いのビデオは怖いけど、ネット小説では怖くないし。基本となる仕掛けが怖くない以上お話の展開と、視覚効果で驚かせるしかないはずなのだけど、そこでもまるで何の仕掛けもできていない。ありきたり。これでは意味をなさない。

まぁ、ある程度は想像はできたけど、ここまでどうでもいいような映画ならそのまま公開せずに日本では封印しておけばよかったのではないか。わざわざ劇場公開するのだから、何かがあるのではないかといういらん期待を抱かせるのは罪だ。中田秀夫も最近はまるで振るわないけど、鶴田法男は最初から今までずっと振るわない。

『リング』の成功、『呪怨』の進化。その2作品を頂点にして、そこから先には進めないまま、同じような作品の再生産に終始して(ほぼ)消えていったJホラー。そこに風穴を鶴田法男が開け、新機軸を打ち出すことができたならハッピーエンドになったのに、そのチャンスを逃したばかりか、この映画は変なミソをつけた。


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