これは小説ではなくエッセイ集だ。最近の読書パターンは8割小説。それ以外で5冊に一冊くらいエッセイ。10冊に1冊くらい評論。さらに20冊に1冊くらい海外文学という概算。エッセイは一気読みしたら、もったいないし、読んだ瞬間に忘れるから、時間にすると小説4冊読む間に、1冊くらいの割合で読み終えるようにする。本当は小説も短編集なら優雅に同じ読み方をしたいのだが、仕方なく一気読みすることが多い。
でも、今回は一気読みしている。吉本ばななの単純さが好き。だから同じようなエッセイが連続して並ぶ。しかも、今回の本はジャンルごとにまとめてあるから余計にだ。1章は「食」がテーマ(30篇ほど)。2章は「旅」(20篇ほど)。なかなかのボリュームだ。書いてあることに、ふんふん、とうなずく。納得のいくお話が多い。特に旅に関しては。名所旧跡はいい。なんとなく行くところを決めて、なんとなくふらふらする。旅行ガイドは帰ってきてから読む。海外の場合は、少し怖いから行きの飛行機に中で予習する。食に難しては僕はこだわりがないし、微妙な味はわからない。だから、安くておいしい。それでいい。たとえタダでも(そんなことはないけど)並んでまで店に入りたくはない。
この本は読んでいてとても楽しい。彼女の「自分流」が微笑ましい。それは強制ではなく、どうぞご自由に、という感じ。後半、3章では「人」がテーマ。(20篇ほど)彼女が尊敬する人。好きな人。そして、最後の4章は「私」(ここも20篇ほど)。この括りがいい。シンプルで潔い。