『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再びコンビを組んで、今度はなんとオルコットの名作古典の映画化。でも、これが実に瑞々しいのだ。今から150年くらい前の4姉妹の物語が今の僕たちのドラマとして訴えかけてくる。こんなにも時代は変わったはずなのに、人の心は変わらない。それどころか、彼女たちの純粋な生きざまは今の僕らが見失っている大切なものを伝えてくれる。今よりずっと困難な時代、しかも、女の子たちという足枷。それをこんなに自由に飛び越えていこうとする。彼女たち一人一人の頑張りが胸にしみてくる。前作同様、家族の絆や、自分らしく生きるための奮闘ぶりが描かれる。そういう意味でもこれは『レディ・バード』の時代を越えた続編だなんて言っても語弊はない。
なんだかほのぼのしているし、善意の人たちに支えられたお話はいささか甘過ぎる気もしないではないけど、そんな優しさもまたこの映画の魅力ではないか、と思えてくる。それくらいにこれはよくできた映画なのだ。これは私の人生のお話。そして、誰もに通じるお話。特別なことではないけど、彼女たちにとっては特別なこと。悲しい出来事もあるけど、それでも、負けないで生きていく。キラキラ輝いている。4人とも素敵だが、主役のジョーを演じたシアーシャ・ローナンが素晴らしい。彼女の生き生きした躍動感あふれるキャラクターがこの映画をリードする。7年後の現在と少女時代を往還するストーリーも心地よい。そして、4姉妹が支えあって生きている姿も素晴らしい。もちろん彼女たちの家族も、隣人たちも、だ。人と人とがこんなふうでいられたなら素敵だな、と思わされる。これは夢のようなお話なのだ。
昔々のお話だけど、そこに彼女たちがいて、こんなにも生き生きして弾んでいる。そのとき、映画は時代を超える。映画が夢物語である、ということをこの映画はちゃんと理解したうえで、その「夢」というのが、現実になっていく姿を提示することで、生きる勇気すら与える。何が正しくて何が間違いだかわからないけど、一生懸命に生きたなら、それが正しい。夢はかなう。