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映画・演劇のレビュー

『見えない目撃者』

2019-10-24 21:13:01 | 映画

 

韓国映画をリメイクした中国映画をさらに日本でリメイクする。同じ題材を複数の国で共有するというこのパターンがアジア圏では結構流行っている。というか、日本と、中国、韓国で、だが。それぞれ見較べれば、お国柄の違いが見えてきて楽しいかも。『怪しい彼女』なんてタイ版とか、ベトナム版とか、どれだけあっただろうか。

 

さて、今回のこの映画だが、気合いに入った作品であることは認めるけど、盛りだくさんすぎて消化不良を起こしている。2時間8分という上映時間の長さも、それを如実に物語る。焦点がぼやけてしまい、真犯人の登場からの本来なら怒濤の展開になるはずの部分がもう息切れしている。この映画に出てくる警察のバカさ、無能さは、さすがに嘘くさいし。

 

目の見えないヒロインがどうして犯人を追い詰めていくのか、という大事な部分もなんだか、おざなりで、リアリティに欠く。冒頭で死ぬ弟の描写もそれが彼女のその後の人生を変えていくのに、なんだか説明的で説得力がない。目が見えなくなる、というとんでもない事実が、痛みとして伝わってこないから、お話自体が作り物めくのだ。こういう映画で一番必要なリアルさがここにはない。

 

どうしてこんなにもつまらない映画になったのだろうか。ヒロインを演じた吉岡里帆も頑張っているけどこれでは精彩を欠く。残酷なシーンもきちんと見せるのはいいけど、それがこけおどしにしかならないのなら、見せなくともいい。ドラマの緊張を持続させるために必要だと踏んだのだろうが、もっとお話自体を緊張感のあるものとして組み立てて欲しかった。田口トモロヲの定年間際の刑事の描き方なんかなんだか身につまされるし、いい味を出していたのに、それも生かされない。森淳一監督どうしたんだろうか?

 

 


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