とてもオーソドックスで、芝居らしい芝居だと思う。ただし、作品世界はあまりに狭く閉ざされてしまっていて、ドラマに広がりがない。オチとなる部分が明確になったところからその先がほんとうは見たかった。
なのに、友人の女の子との関係や、彼女のことを待っていてくれる恋人、彼らとの現在進行形のドラマが、作品全体の彩りにしかならないのはもったいない。主人公である漫画家と母親との関係を描くドラマがメーンであることは重々わかっているのだが、この芝居はそこだけに向けての90分であってはならないような気がする。
母を看取ること。母にとって自分の存在は何だったのか。生まれる前に死んでいった兄のこと。もうひとりの父のこと。自分の父のこと。今、漫画家として、作品の中で、母の記憶を描くこと。想像の中で、綺麗事となる母。現実の病院で寝たままの母。彼女に聞いてみたかったこと。(それは現実にはもう叶わないことなのだが)いくつものイメージが散りばめられてある。それをただ指し示すだけでは惜しい。それらが有機的にとながったとき、個々のイメージを越える何かが見えたなら良かった。
この単純すぎるドラマを、前半はわざとミステリアスに見せてそれぞれがつながらないように並べていく。後半の母との対決のシーンですべてのピースがつながるのだが、ここから収束までの部分がちょっと単純すぎた。本当はここから本当の物語なのではないか。すべてはここから始まる。
これは作、演出のナカメキョウコさんの自伝的なドラマのようだが、作家の想像力は現実や事実がなんかを軽く凌駕するべきだ。それが事実に絡め取られて窮屈になるようではつまらない。
なのに、友人の女の子との関係や、彼女のことを待っていてくれる恋人、彼らとの現在進行形のドラマが、作品全体の彩りにしかならないのはもったいない。主人公である漫画家と母親との関係を描くドラマがメーンであることは重々わかっているのだが、この芝居はそこだけに向けての90分であってはならないような気がする。
母を看取ること。母にとって自分の存在は何だったのか。生まれる前に死んでいった兄のこと。もうひとりの父のこと。自分の父のこと。今、漫画家として、作品の中で、母の記憶を描くこと。想像の中で、綺麗事となる母。現実の病院で寝たままの母。彼女に聞いてみたかったこと。(それは現実にはもう叶わないことなのだが)いくつものイメージが散りばめられてある。それをただ指し示すだけでは惜しい。それらが有機的にとながったとき、個々のイメージを越える何かが見えたなら良かった。
この単純すぎるドラマを、前半はわざとミステリアスに見せてそれぞれがつながらないように並べていく。後半の母との対決のシーンですべてのピースがつながるのだが、ここから収束までの部分がちょっと単純すぎた。本当はここから本当の物語なのではないか。すべてはここから始まる。
これは作、演出のナカメキョウコさんの自伝的なドラマのようだが、作家の想像力は現実や事実がなんかを軽く凌駕するべきだ。それが事実に絡め取られて窮屈になるようではつまらない。