久しぶりの加納朋子だ。しかも『ななつのこ』の姉妹編。だけど、これを単独作品として見て(読んで)構わない。続編ではなくちゃんと独立した作品になっている。3世代、3匹の犬と彼らを飼うある家族の歴史を背景にした大河ドラマである。
ゼロと名付けられた小さな犬が、大事な女の子を守る話から始まり、その女の子やゼロが生まれる前から、今に至る家族と犬たちの物語が綴られていく。ゼロを守るのがもう今ではここにはいない(死んでいることがやがてわかる)ワン(ONE)である。
このエピソードをスタートにして、ワンの母親であるシロがやってくる話に遡っていく。ワン(ONE)を中心にした3話が続く。そしてワンONEを引き取って育てる話に。合計4つのお話が描かれる。妹の視点から描かれる冒頭部から始まり、ワンを巡る3つの話。読み終えた時、優しい気分に包まれる。犬と4人家族が肩を寄せ合い暮らす日々のスケッチに胸が熱くなる。気持ちいい小説だった。