シリーズ第3作。これが一応の完結編になる。だが、最初はなかなかエンジンがかからない。あんなにも期待したのに、がっかりなスタートだ。しかも、それが長い。全体で470ページほどある長編なのだが、200ページを越えてもまだおもしろくならないのだから、これはちょっとヤバいのではないか、と心配になるほどだ。だが、大丈夫。随所にちりばめた伏線の配置ができると、お話はよくやく動き出す。
1作目は短編連作のスタイルで、主人公の多田が昔のクラスメイトである行天と再会して、彼を居候させ、2人は様々な顧客を通していろんな事件に遭遇することになる、というのが骨格だった。4話からなる連作。2作目は1作目で登場した脇役を主人公に据えたスピンオフ。だからこちらは各エピソードごとに主人公が違う。
だが、今回は多田と行天がちゃんと主人公になり、前2作に残された様々な謎を解明してくれる。しかも、思いがけない急展開があり、すべてが丸く収まる大団円となるのだ。ただそこまでの段取りに時間がかかりすぎ。いくら長編だからと言って、ここまで引っ張るべきではない。
たまたま亜沙子さんと一気に関係を持つところから話は加速する。そこからラストまではもうノンストップだ。しかも、すべてを物の見事に収束させる。そんなばかな、の展開で、ただの片想いだった多田の恋愛がいきなり成就して、更には、はると行天の関係がうまく流れ始める。
前2作を受けてこのシリーズの総括をする。さらには次の1歩の可能性も、ちゃっかり残していく。なかなかずるいけど、とてもよく出来た幕切れだ。だって、人生はここで終わるのではないからだ。
行天の秘密が明かされる。彼が自分のトラウマと向き合いちゃんと乗り越えていく姿を見せる。同じように多田も、彼の世話を焼いていたはずが自分の弱さと向き合い乗り越えていくことになる。そんなふたりの成長がなんだかうれしい。こんなことは、大の大人に対して、言うことではないけど、でも、よかったね、と言ってあげたい。今までの自分から1歩を踏み出し、自信を持って新しい人生と向き合っていく。とても元気になれるラストだ。大団円にふさわしいエンディング。三浦しをんはこれをよく出来たお話として、まとめてくれる。そのためには、前半の道具立ては必要だったのかもしれない。しかし、200ページ以上つまらない、というのはちょっとなぁ、とやはり思う。
1作目は短編連作のスタイルで、主人公の多田が昔のクラスメイトである行天と再会して、彼を居候させ、2人は様々な顧客を通していろんな事件に遭遇することになる、というのが骨格だった。4話からなる連作。2作目は1作目で登場した脇役を主人公に据えたスピンオフ。だからこちらは各エピソードごとに主人公が違う。
だが、今回は多田と行天がちゃんと主人公になり、前2作に残された様々な謎を解明してくれる。しかも、思いがけない急展開があり、すべてが丸く収まる大団円となるのだ。ただそこまでの段取りに時間がかかりすぎ。いくら長編だからと言って、ここまで引っ張るべきではない。
たまたま亜沙子さんと一気に関係を持つところから話は加速する。そこからラストまではもうノンストップだ。しかも、すべてを物の見事に収束させる。そんなばかな、の展開で、ただの片想いだった多田の恋愛がいきなり成就して、更には、はると行天の関係がうまく流れ始める。
前2作を受けてこのシリーズの総括をする。さらには次の1歩の可能性も、ちゃっかり残していく。なかなかずるいけど、とてもよく出来た幕切れだ。だって、人生はここで終わるのではないからだ。
行天の秘密が明かされる。彼が自分のトラウマと向き合いちゃんと乗り越えていく姿を見せる。同じように多田も、彼の世話を焼いていたはずが自分の弱さと向き合い乗り越えていくことになる。そんなふたりの成長がなんだかうれしい。こんなことは、大の大人に対して、言うことではないけど、でも、よかったね、と言ってあげたい。今までの自分から1歩を踏み出し、自信を持って新しい人生と向き合っていく。とても元気になれるラストだ。大団円にふさわしいエンディング。三浦しをんはこれをよく出来たお話として、まとめてくれる。そのためには、前半の道具立ては必要だったのかもしれない。しかし、200ページ以上つまらない、というのはちょっとなぁ、とやはり思う。