幼児虐待を扱い、それに行き場所をなくした老人の旅を絡めて描く奥田瑛二監督第3作。前作『るにん』には驚かされた。あれだけのスケールの映画を独立プロで撮り、しかも娯楽作品としても成立させているなんて、奇跡だと思った。しかも採算を度外視して作ってしまうという凄さである。ヒットさせないつもりでは当然あるまいが、よくぞここまで妥協のない作家性を貫いたものだ。今時これほど腰の据わった作家は居ない。これは、ただの役者の余技ではない。
さて、今回は前回とは違い小さな話だが、繊細なタッチで傷ついた少女と、彼女を見守る老人、さらには同じように行き場を無くした青年も絡んできて、甘いだけのファンタジーにはしないが、厳しいだけの現実を描くでもないとても美しい作品になった。
緒方拳が戸惑いながらも、5歳の幼児を連れて旅する姿がきちんと距離を置いて描かれていく。情緒過多の甘い映画にはならないのがいい。風景がとても美しくそれだけを見ていても心が癒される。
作者がでしゃばらないのがいい。淡々と事実だけを順に描いていく。カメラは彼らに必要以上に寄らない。被害者にも、加害者にもしない。ありのままを見せる。そのへんに作家奥田瑛二の基本姿勢を見る。このファンタジーのような映画をまるでドキュメンタリーのように厳しく捉え、見せ切ってしまうのだ。心に沁みる作品である。
さて、今回は前回とは違い小さな話だが、繊細なタッチで傷ついた少女と、彼女を見守る老人、さらには同じように行き場を無くした青年も絡んできて、甘いだけのファンタジーにはしないが、厳しいだけの現実を描くでもないとても美しい作品になった。
緒方拳が戸惑いながらも、5歳の幼児を連れて旅する姿がきちんと距離を置いて描かれていく。情緒過多の甘い映画にはならないのがいい。風景がとても美しくそれだけを見ていても心が癒される。
作者がでしゃばらないのがいい。淡々と事実だけを順に描いていく。カメラは彼らに必要以上に寄らない。被害者にも、加害者にもしない。ありのままを見せる。そのへんに作家奥田瑛二の基本姿勢を見る。このファンタジーのような映画をまるでドキュメンタリーのように厳しく捉え、見せ切ってしまうのだ。心に沁みる作品である。