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映画・演劇のレビュー

『ウォール・ストリート』

2011-01-24 22:16:51 | 映画
 あのラストはないと思う。いくらなんでもあれではあんまりだ。あれだけ酷い裏切りを受けながら、それでも親子が和解していくなんて甘すぎる。1度ならずも、2度までも裏切られて、それでも父娘だから、とか、それはないと思うのだ。これはそんなノーテンキな話なのか。冷酷な男の話だったように思うのだが。

 このラストシークエンスを除けば、これは「そこそこ」にはおもしろい映画である。マネーゲームの構造をリアルに見せてくれ、かなりドキドキさせられる。サブプライムローンをクライマックスに据えて、そこに向けて加速していくドラマには緊張感がある。ゲッコー(マイケル・ダグラス)の一発大逆転はなんだかあまりに単純すぎて、そんなのでいいのか、と思うけれども、それでもまだそこまでなら受け入れられた。カメオ出演のチャーリー・シーンがなんかすごいおっさんになっていたのには驚かされたし。でも、あの生温いラストだけは戴けない。

 ほんのちょっとした噂に左右されて、何億ものお金が動いていくって、なんだか信じられないのだが、あながち嘘でもなかろう。見ていて、こんな人たちが世界を動かしているのかと思うと、この世界は暗い、と心から思った。それから、この映画はオリバー・ストーンなのに、まるで毒のない映画だったのにも驚く。まぁ、その程度。

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