ようやくこの大作映画を見る。ジャッキー・チェン100作記念ということで、大々的に宣伝していたはずなのに、日本ではまるでお客さんは入らなかった。そりゃぁ、この題材とこの話である。従来のジャッキー・ファンは一切来ないだろう。これはアクション映画ではない。今ある中国人のルーツをたどる映画だ。辛亥革命を真正面から描く。100年前の出来事から、中国人のルーツをたどるなんて、なんだか大胆な話だが、これはこれで一里ある。中国4000年の歴史、なんて言うけど、今、目まぐるしく状況が変わる現代中国の原点をどこに設定するかは彼らにとって大問題だろう。21世紀に入って大躍進を遂げる中国と中国人にとって今とこれからの自分たちはどこに向かうのか、それは大問題だ。正直言うと、不安ばかりだ。日の出の勢いだ、なんて誰も思わない。日本が、そして韓国がたどった道を、中国もまた後追いしているだけなのかもしれない。この繁栄はやがて終わる。大事なことはその後、である。
原題はそのまま『辛亥革命』である。歴史大作である。この直後の『新少林寺』と連動している。派手なだけの空疎な大作映画ではなく、真面目に歴史的瞬間を捉え、それが今の中国人にとってどんな意味を持つのかを描く。清国を倒して中華民国を作る。人民による民主的な国家の建国を目指した孫文の生き方を彼を主人公にして描くのではなく、名もない兵士たちの視点から描こうとした。特定の誰かが主人公にはならない。この映画に描かれるすべての人々が主人公だ。彼らひとりひとりの尊い犠牲の上にこの革命があり、今の躍進する中国がある。
さすがに今、毛沢東を主人公にはしない。孔子は主人公にしたが、不発だった。孫文は盛んに作られている。今回がそのハイライトであろう。だが、その中心には孫文はいない。ジャッキーはさすがに孫文を演じない。彼の右腕となった男を演じる。が、先にも書いたが、これはあくまでも群像劇である。どこかに焦点があてられる、というわけではない。一応主人公はこの2人に象徴される、という程度の話だ。特定の誰かがヒーローとなるタイプの映画なんか目指さない。その志に敬意を表したい。それでなくては意味がない。ジャッキー・チェンは、自分が映画に捧げてきた人生のひとつの総決算として、この渾身の映画を作る。監督としてこれが劇場用長編の第1作となる若い作家を迎え、未来に希望を託す。
中国人にとってはとても意義深い映画だ。だが、日本人にはあまり興味がない映画なのかもしれない。しかも、ジャッキーはほとんどアクションはしない。(ワンシーンだけ、ファンサービスで、華麗なアクションを見せるのが、いい。これはお約束なのだ!)だが、彼はこの映画を自分の100作記念大作として作り、これを全世界に向けて発信する。彼のその姿勢はすばらしい。アクションスターとしての自分ではなく、中国人の映画スターとしての自分をここでは優先した。
ずっとジャッキー映画を見てきた。もちろんつまらない作品だってある。だが、どんな映画に出てもジャッキーはジャッキーだった。いつも笑顔を絶やさず、どんな試練にも立ち向かってきた。アクション映画を見て泣いたのは彼の映画が最初で、最後だ。『プロジェクトA』を初めて見たときの感動は誰も忘れないだろう。『ポリスストーリー』もそうである。あの頃の彼の身体を張ったアクション映画は、今も鮮やかにみんなの心に残る。
この大作を見ながら、ジャッキーの願いが痛いほど伝わってくる。もちろんこれは傑作ではない。映画としては欠陥はたくさんある。だが、そんなこと、どうでもいい。映画に魂を込める。これが終わりではない。まだまだジャッキー映画は続く。そして香港映画からスタートして、今、中国映画の中心となり戦い続けるジャッキー・チェンをこれからも応援していきたい。
原題はそのまま『辛亥革命』である。歴史大作である。この直後の『新少林寺』と連動している。派手なだけの空疎な大作映画ではなく、真面目に歴史的瞬間を捉え、それが今の中国人にとってどんな意味を持つのかを描く。清国を倒して中華民国を作る。人民による民主的な国家の建国を目指した孫文の生き方を彼を主人公にして描くのではなく、名もない兵士たちの視点から描こうとした。特定の誰かが主人公にはならない。この映画に描かれるすべての人々が主人公だ。彼らひとりひとりの尊い犠牲の上にこの革命があり、今の躍進する中国がある。
さすがに今、毛沢東を主人公にはしない。孔子は主人公にしたが、不発だった。孫文は盛んに作られている。今回がそのハイライトであろう。だが、その中心には孫文はいない。ジャッキーはさすがに孫文を演じない。彼の右腕となった男を演じる。が、先にも書いたが、これはあくまでも群像劇である。どこかに焦点があてられる、というわけではない。一応主人公はこの2人に象徴される、という程度の話だ。特定の誰かがヒーローとなるタイプの映画なんか目指さない。その志に敬意を表したい。それでなくては意味がない。ジャッキー・チェンは、自分が映画に捧げてきた人生のひとつの総決算として、この渾身の映画を作る。監督としてこれが劇場用長編の第1作となる若い作家を迎え、未来に希望を託す。
中国人にとってはとても意義深い映画だ。だが、日本人にはあまり興味がない映画なのかもしれない。しかも、ジャッキーはほとんどアクションはしない。(ワンシーンだけ、ファンサービスで、華麗なアクションを見せるのが、いい。これはお約束なのだ!)だが、彼はこの映画を自分の100作記念大作として作り、これを全世界に向けて発信する。彼のその姿勢はすばらしい。アクションスターとしての自分ではなく、中国人の映画スターとしての自分をここでは優先した。
ずっとジャッキー映画を見てきた。もちろんつまらない作品だってある。だが、どんな映画に出てもジャッキーはジャッキーだった。いつも笑顔を絶やさず、どんな試練にも立ち向かってきた。アクション映画を見て泣いたのは彼の映画が最初で、最後だ。『プロジェクトA』を初めて見たときの感動は誰も忘れないだろう。『ポリスストーリー』もそうである。あの頃の彼の身体を張ったアクション映画は、今も鮮やかにみんなの心に残る。
この大作を見ながら、ジャッキーの願いが痛いほど伝わってくる。もちろんこれは傑作ではない。映画としては欠陥はたくさんある。だが、そんなこと、どうでもいい。映画に魂を込める。これが終わりではない。まだまだジャッキー映画は続く。そして香港映画からスタートして、今、中国映画の中心となり戦い続けるジャッキー・チェンをこれからも応援していきたい。